IDEA

おいしい農ある暮らし-OYAOYA-

OYAOYA
小島 怜
学生時代に祖母が糖尿病になり、食事が大好きだった彼女の生活は一変。食事制限による空腹のあまり、台所の卵の殻を食べているところを目撃し、そこから私は健康食を作ろうと決意します。大学時代に農業を研究し、乾燥野菜を知ってから、自身が乾燥野菜の虜に。また農家を多数訪問する中で、農業の存続という課題に直面し、中山間地域では高齢化や人口減少により農業人口が激減している現状や、地理的な問題で規格外の「行き場がない野菜」の処理を考えるようになります。そこで乾燥加工を生産地で施し、輸送費を20分の1に出来る乾燥野菜ブランド「OYAOYA」を開業しました。

──現在考えられているビジネスとその目的はどのようなものでしょうか?

ビジネスのタイトルは「おいしい農ある暮らし-OYAOYA-」。キャッチフレーズは「おいしい!を耕そう」です。農家さんの持っているおいしい!を発見し、規格フリーで買い取った野菜をストーリーと共に商品化して販売することで、農業のこれから。を創るブランドを展開しています

 

──具体的な事業としてはどのようなことを計画されているのでしょうか?

く女性は仕事が忙しかったり、子育てや介護など自身の暮らしも二の次になったりすると、ご飯の用意が面倒になるような慌ただしさの中にいますしかし栄養があって、安全なものを食べたい。そんなニーズに対し、OYAOYA は生産者の顔が見える「おいしくて、手軽」な商品を届けることができます。ユーザーとしては時短だけどおいしい食べ方を自分なりに発見でき、みんなで農ある暮らしを耕すことを目指しています。

 

──ビジネスアイデアの特徴を3つ上げるとしたら、どんなところでしょうか?

1つ目は、農家さんの「おいしい!」を発見する
OYAOYAの1つの魅力は農家さんとの近い関係性です。産地に出向き、畑作業を一緒にして、農家さんも気付かなかった新鮮な「おいしい!」を発見して、商品に詰め込みます。例えば、​​京丹後市の農家さん「エチエ農産」で発見した野菜を用いて、乾燥の技術を使うことで旨味を引き出し出汁が溢れる料理を誰でも手軽に作ることができる。そんなOYAOYAが発見してくる商品を、自然な状態でお届けします

2つ目は、ユーザーが「おいしい!」を発見する
OYAOYAが届けるのは加工野菜というモノだけではありません。農家さんのインタビューや動画もお届けしOYAOYAの「おいしい!」の発見プロセスも共有することで、新鮮な「おいしい!」を楽しみながら、ご自身でも好みの「おいしい!」を発見する暮らしを見つけられるまずは京都から乾燥野菜がある「おいしい!」5日間をお届けします

3つ目は、「おいしい!」循環を生み出すコミュニティメディア
OYAOYAと農家、農家とユーザー、ユーザー同士など、人とのつながりが新鮮な「おいしい!」を耕す肥料になります。あなたが見つけた「おいしい!」をコミュニティで共有することにより、新しい商品やサービスが生まれるきっかけになるかもしれません。共に「おいしい!」発見にわくわくし、農ある暮らしを楽しみましょう

 

──なぜこのビジネスアイデアを実現したいと思うようになったのでしょうか?

祖母が糖尿病になり苦しい食事制限を強いられている姿を目の当たりにし、健康食を作ることを決意しました。大学で農業を勉強しており、自身も野菜が好きだったので農家さんを多数訪問していました。そのときに廃棄される野菜の現状を知った一方で、直売所などで格安で販売されており、農家さん側も利益が出ていないことに気がつきました

そこで私は行き場のない野菜に価値をつけることで、農業の新しいあり方を実証すると決意まず始めは自分自身が一人暮らしする中で野菜を腐らせたり、調理が面倒だったりという課題があったので手軽に食べられる乾燥野菜を商品化するに至りました

 

──なぜこのビジネスが今必要だと考えているのですか?

に限らず、日本国内では農業従事者が減少しており耕作放棄地が年々増加傾向にあります。また、農業従事者の多くは70代以上であり、2030年には引退を迎える人が増えると予測されており、地域内での農業施設の共同管理が若手世代の大きな負担になっています。

一方で、規格外野菜の破棄など農業経営を圧迫する現状もあり、規模拡大が難しく農業の存続が危うくなっています。このままでは、当たり前に食べている食事が外国産のものばかりになり、工業化されたおいしい!だけが残ってしまう…そのため今すぐにこの事業に取り組む必要性があると考えています。

 

──アクセラレータープログラムに参加した時点での課題意識と、参加した上での成果はどのようなもだったでしょうか?

本プログラム開始時に持っていた農業に関する課題感は、現在も同じように感じています。ただ当初は、規格外野菜の活用方法として乾燥野菜を手段に大量生産し、販売する乾燥野菜メーカーになることを考えていました。しかしプログラムを進める中で、農業の存続のためには『農業の魅力を伝えつつ、消費者と生産者が繋がる接点』を作ることが大切であり、そのためには「おいしい農ある暮らし」の届け手になると決めました。

のビジョンは抽象的なので、具現化する必要性を改めて感じ、キャッチコピーを「おいしい!を耕そう。」とすることに決定生産者が持っている美味しさを、消費者が広めていく事業モデルに転向しました。最初の商品として、エチエ農産が持っている乾燥技術を使い乾燥野菜美味しい食べ方をユーザの方々と見つけていきます

 

──ビジネスアイデアの実現に向けて、これからの展望をお聞かせください。

OYAOYAは現在、京都の若手農家さんと共に「おいしい!」を発見しています。そして、まだまだ世界中に眠っている「おいしい!」はたくさんあるので、今後も少しずつ国内の地域から世界へとフィールドを拡大していきたいと考えています

Project1は京都にあるエチエ農産で発見した乾燥野菜。Project2は京都の若手農家さんの魅力を詰めた乾燥野菜を楽しむ5日間。Project3は砂丘でさつまいもを栽培しているSeasFarmさんと調整中です。砂丘で育つさつまいもは皮が薄く干し芋にするとまるで焼き芋のような味わいになります

今後時期は未定ですが、ベトナムのバンメトートでも調査を検討中です。現地では、日本から移住し、こだわりを持った農業をされている方がおられ、ベトナムでしか栽培できないような農作物を栽培されています。このような形でOYAOYAは農家さんの魅力を軸に、「おいしい!」発見を楽しみながら、まずは京都、そして世界中へ、おいしい農ある暮らしを届けます。そして農業を通じた出会いや繋がりを耕し、「農業の、これから。」を創るブランドとして展開していきます。

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