IDEA

ハイレゾ不動産仲介事業

税理士法人らくよう綜合研究所 代表
猪口 建太朗
銀行系証券会社を経て、新日本有限責任監査法人に入所。金融部に所属し、銀行業、証券業、投資顧問業、ファンド(投資信託、SPC等)の監査・保証業務に従事。2012年から東日本大震災事業者再生支援機構(仙台)に駐在派遣。2014年に新日本有限責任監査法人を退職後、猪口公認会計士税理士事務所を京都にて開業。2017年、税理士法人らくよう綜合研究所を設立。

──現在考えられているビジネスとその目的はどのようなものでしょうか?

ビジネスのタイトルはハイレゾ不動産仲介事業です。キャッチフレーズは透明でリーズナブルな不動産取引を創るです。

不動産取引はその商品特性から、未だにインターネット上での意思決定が難しいとされています。ハイレゾ不動産仲介事業は、テクノロジーとデザインによる情報提供を通して、意思決定に役立つ情報を見込顧客に遠隔で提供することを実現し、取引の効率性を高めていく事業モデルです。

 

──具体的な事業としてはどのようなことを計画されているのでしょうか?

一般の不動産取引は「①A4一枚程度の概要情報に基づいた初期的関心」「②内覧等の実地調査や検討」「③交渉・契約」といったプロセスで進められます。きっとどなたも経験されたように、A4一枚程度では情報量が少ないことから十分なスクリーニング実施に限界があり、結果として実地調査などで見込顧客及び不動産業者に相当のコスト負荷が発生しています。また、地理的な制約から実地調査などのプロセスに参加が難しい見込顧客も潜在するでしょう。そこで、私たちは不動産の概要情報の解像度を高めることで、この課題を改善しようと考えています。

 

──ビジネスアイデアの特徴を3つ上げるとしたら、どんなところでしょうか?

1つ目は、高解像度情報の提供。不動産の3Dモデリングなどのテクノロジーを活用した立体情報を提供することで、内覧のプロセス以前に意思決定に役立つ十分な情報をWEB媒体を通じてお届けします。

2つ目は、ワンストップ相談。私たちは会計事務所が母体となった不動産仲介業であることも特徴です。不動産に関連した様々な留意点(税金・ファイナンス)についてもワンストップで安心感の高い情報・相談対応を提供することができます。

3つ目は、行政連携。離島や山村など、地理的な要因から往訪が難しく移動コストがかかる物件を、不動産流通の市場にのせていくことが可能となり、社会的な意義や活用可能性が高い取組が見込めます。

 

──なぜこのビジネスアイデアを実現したいと思うようになったのでしょうか?

公私ともに不動産探索から契約までの経験を何度となくする中で、旧態依然とした不動産取引の慣行に不満と疑問を感じていました。この10年間のIT技術及びインフラの発展・整備により、世の中の様々なサービスがよりリーズナブルに提供されるようになる中で、不動産業界については未だにレガシーな業界慣行を踏襲し続けているように感じています。今回、3Dモデリング技術との出会い、会計事務所の顧客へのより幅広いサービス提供とのシナジーなどを考量し、不動産仲介業を立ち上げしたいと決意しました。

 

──なぜこのビジネスが今必要だと考えているのですか?

遠隔に居住する人々にとっては、地理的な制約から取引への参加が難しい、又は取引コストが高くなっています。近年は人口減少の中で、住まい方や働き方についても様々な議論や可能性が示されており、住・職の選択肢はより多様になっていくでしょう。現実的な私たちのクオリティオブライフの中で不動産が占める重要性は非常に高く、より柔軟で自由な選択肢を提示できることが求められています。ハイレゾ不動産仲介業はこの課題解決に向き合っていきます。

 

──アクセラレータープログラムに参加した時点での課題意識と、参加した上での成果はどのようなものだったでしょうか?

本プログラム開始時点においては、ビジネスプロセス全体の具体的な設計であったり、顧客ニーズの所在について一人で悶々と考えており、具体化の為にどのような準備が必要か整理できていませんでした。今回のメンタリング等を通じて、課題設定の正しさについての再認識や、自身の問題意識の本質について再考し言葉にすることができました。

 

──ビジネスアイデアの実現に向けて、これからの展望をお聞かせください。

新しい不動産取引のプロトタイプを構築し、世に問いたいと思います。自身で抱いていた課題意識は概ね的を射ていたと確認ができたと考えており、具体的なサービス実現に向けた準備を進めていきたいです。不動産が面白いのは、資産性が高い実物資産でありながら、その活用の仕方によってその価値が何倍にも変わり得るという点です。だからこそ適切な見込顧客にどれだけリーチできるのかが重要です。不動産仲介業者は、自社の利益を優先するのではなく、よりよい取引の実現に最大限コミットしていかなければならないと考えています。それが専門家の役割であると私は考えます。そのような想いを実現できる不動産仲介サービスを作っていきたいです。

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