IDEA

#ヒトリノツナガリ

ひとりつながりラボ
浅野 哲生
昭和64年生まれ、兵庫県神戸市出身。転職を機に京都に越してきて4年目。京都に知り合いがほとんどおらずワンルームアパートでの生活を送る中、2018年の大阪府北部地震と西日本豪雨をきっかけに、地域に助け合える人がいない孤立した生活に危機感を持つ。以来、「結婚してもしなくても、だれも孤立しない生き方・住まい方」の模索を始め、ひとりつながりラボを一人で主宰。

──現在考えられているビジネスとその目的はどのようなものでしょうか?

ひとりが地域とつながる糸口作りを目的とした「#ヒトリノツナガリ」というプロジェクトを考えています。地域のオープンスペースで実施するひとり暮らしの人限定イベントと、ひとりのつながり作りをテーマにした情報発信を通して、ひとりで暮らす人が自分の住む地域につながりを作るきっかけを生み出していきたいです。

 

──具体的な事業としてはどのようなことを計画されているのでしょうか?

暮らす地域に知り合いがいないひとり暮らしの人が持つ「何かあったときに助け合える人を地域に作りたい」「地域につながりを作りたいけど、ひとりだとなかなかきっかけがつかめない」といったモヤモヤ感に対して、イベントなどを通じて地域内に「一人目の知り合い」を作るきっかけと勇気を提供していきます。

 

──ビジネスアイデアの特徴を3つ上げるとしたら、どんなところでしょうか?

1つ目は「ひとり」に特化すること。対象はひとり暮らしの人に集中し、ひとりでも地域につながりを作るための方法を発信して「自分にもできるかも」と勇気を持ってもらい、ひとりでも参加しやすい場を作ります。

2つ目は「地域」に特化すること。河原や散歩道など、普段その地域に住む人がよく利用しているオープンスペースでイベントを開催することで、より地域に密着したつながりのきっかけを作ります。

3つ目は「人見知り」に特化すること。イベントの仕掛け人である私自身も、自分から積極的に人に話しかけに行くのが苦手なタイプ。だからこそ、ランニングや散歩などアクティビティを取り入れて、人見知りしがちな人でも自然と会話が生まれるような場を作ります。

 

──なぜこのビジネスアイデアを実現したいと思うようになったのでしょうか?

仕事で越してきた京都に知り合いができなくて寂しい思いをしていたなかで、2018年の西日本豪雨で自宅が雨漏りし、自宅からすぐ近くの地区には避難指示が出るという経験をしました。避難するかどうか、不安な思いを相談できる人が近所にいなかったことがきっかけで、何かあったときに助け合える顔見知りを地域に作りたい、人見知りなひとり暮らしには地域に入っていく糸口・新しい仕組みが必要だと思い、アイデアを考えるようになりました。

 

──なぜこのビジネスが今必要だと考えているのですか?

現在世帯構成で一番多いのは単身世帯であり、2040年代には約40%が単身世帯になると予測されています。一方、近所の人の名前も顔も知らない人の割合は、2人以上の世帯が7.1%なのに対し、単身世帯は35.0%という調査結果(※)が示すように、ひとり暮らしの人は他の世帯構成に比べて地域につながりが乏しい状態にあります。とはいえ、従来の地域コミュニティの代表格である町内会等の地域活動は、子どもやパートナーなどを参加のきっかけにすることができないひとり暮らしの人にとっては参加のハードルが高いでしょう。#ヒトリツナガリのアイデアは、ひとりでも地域につながりを作りやすくするニーズに応えるものになると思っています。

※ウェブクルーリサーチ会員対象の2015年調査

 

──アクセラレータープログラムに参加したことで、どのような成果がありましたか?

当初はシェアハウスを作って、生活圏内での人のつながりを生み出すという規模のことを考えていましたが、それをどう実現できるのか具体的なイメージが沸かず、自分自身がどう関わるのか見えていませんでした。本プログラムの中で、課題を解決するには別のアプローチもあることや、自分自身の関わり方も心理的ハードルを低くして楽しむことが長続きするコツだとアドバイスいただき、等身大のプロジェクトで小さく始めることが大切だと気づくことができました。

 

──ビジネスアイデアの実現に向けて、これからの展望をお聞かせください。

まず自分の住む地域でイベントを始めてみたいと思っています。具体的には「【ひとり暮らし限定】ゆるっとつながりラン@京都松ヶ崎~高野川 #ヒトリノツナガリ」と題して、途中離脱自由のゆるいイベントを毎月第3土曜日の夕方に開催し、京都市内の高野川沿いをのんびり走りながら知り合いをつくっていきます。参加者が自分一人だけでも続けて、その過程を#ヒトリツナガリ 奮闘記としてSNSで発信していくことで、最初の一歩を踏み出したいと思っているひとり暮らしの人たちの背中を押してあげたいと考えています。

メンバーページ