世界の日常を旅する写真集「LIFE」
──現在考えられているビジネスとその目的はどのようなものでしょうか?
ビジネスのタイトルは「世界の日常を旅する写真集『LIFE』」。キャッチフレーズは「オンライン上で海外旅行を擬似体験できるサービス」です。新型コロナウイルスを始めとする何らかの理由により、海外へ行くことができない人に対し、本書籍を通して、まるで旅をしているようなリアルな読書体験をお届けします。また、感染対策による多くの制約がある生活のなかで、読者に明るく前向きな気持ちになってもらえることを願って作成しています。
──具体的な事業としてはどのようなことを計画されているのでしょうか?
海外への渡航に興味を持っている、もしくは希望しているが、新型コロナウイルスを始めとする何らかの理由で、実際に行くことができない人が持つ現状への不満や海外を恋しく思う気持ちに対して、オンライン出版する「世界の日常を旅する写真集『LIFE』」シリーズを通して、前向きな気持ちになっていただくことを目標としています。
この事業は、オンライン上で海外旅行を擬似体験できるサービスであると同時に、私自身が以前、英語で旅行ブログを開設していた経験を活かし、InstagramなどのSNSやラジオ配信を通して、世界や日本のことを伝える双方向メディアとなることを目指しています。日本にいる方であれば、私の海外渡航中のリアルな写真が多く掲載されている写真集を通して、旅行の擬似体験をして頂き、楽しい時間を過ごしてもらう。来日経験のない海外の方であれば、私が日々発信する『LIFE』をご覧いただき、京都を始めとする日本の魅力に気づいてもらい、観光や留学に来てもらえる関係構築のお手伝いができたらと思っています。
──ビジネスアイデアの特徴を3つ上げるとしたら、どんなところでしょうか?
1つ目は、自分がその場にいるように感じる主観的な写真。
写真は現地の日常の風景や食べ物を切り取り、視覚的にリアルに近い情報を提供することにより、海外へ行ったような擬似体験ができます。
2つ目は、擬似体験として感じられるエッセイ。
私自身が旅をする中で、写真を撮った時に感じたことや体験したことを記載することで、エッセイを読んだ人が私の体験した渡航を擬似体験できます。そうすることで、写真を見ただけでは感じられない、現地の雰囲気をよりリアルに感じられるように作成しています。
3つ目は、観光客としてだけでなく、海外の生活者としての視点。
ありきたりな海外旅行の観光地だけではなく、あえて現地の一般の人々が暮らすエリアや様子を記載することで、彼らが持っている生活の価値観と日本の価値観が異なっていることをより実感してもらうように記載しています。
──なぜこのビジネスアイデアを実現したいと思うようになったのでしょうか?
新型コロナウイルスの影響で、海外へ行く日本人が少なくなり、海外情報の希少価値が高まっています。また、海外への旅行や留学、就業を諦めてしまった方を多く見てきました。私自身も海外に滞在をしておりましたが、新型コロナウイルスが理由で帰国いたしました。
旅行や留学に行けなくなり、気分を切り替える手段がなくなってしまったり、新しい経験を積めなくなってしまい、心身に問題を抱える方が増えています。この取り組みは、私の当時の渡航経験を、時系列に沿って写真集として提供することにより、読者が海外の価値観を新しく発見したり、前向きな気持ちになることで心理的なストレスを取り除くといった、幅広い層のニーズを満たす取り組みとなっています。
──なぜこのビジネスが今必要だと考えているのですか?
当初は「世界の日常を旅する写真集『LIFE』」を出版すること、そこへのアドバイスをもらうことが目的でした。しかし、プログラムに参加して、前述のような自分自身の経験や能力(留学経験や語学力)、オンラインでの出版プロセスを情報発信したりすること自体に、今の時代はそもそも価値があると考えるようになりました。
──アクセラレータープログラムに参加した時点での課題意識と、参加した上での成果はどのようなものだったでしょうか?
本プログラム開始時点においては、初めて電子書籍を出版するにあたり、PR戦略に対する不安を抱えていました。本プログラムが進み、メンタリングの度に様々なバックグラウンドのメンバーと意見を交わすことで、写真集がよりブラッシュアップされ、質を高めることにも繋がりました。
出版に向けて、Instagram上で本書籍のことや筆者である自分自身を多くの方々に知ってもらえるように努めました。アカウント作成の3ヶ月後には、当初の目標であったフォロワー1000人を達成し、一定のPR成果を上げることに成功しました。また、Instagram以外のPR活動としてラジオ配信を始めました。出版前は、出版に関することや裏話などを発信しながら、リスナー及び読者の獲得に努めました。出版後は、世界中の発信者とコラボ企画などを定期的に行うことで、書籍の宣伝は勿論のこと、一方的にに応援してもらうのではなく、リスナーにも応援を還元する仕組みを構築しているところです。
出版してからもPR活動を積極的に行うことにより、書籍以外の分野で新しい目標や仕事が生まれるのでは!というアドバイスもあり、迷わず進んでいくことができました。その中で、これまで帰国後に中断してしまっていた映像制作の分野で、依頼が2件立て続けに入るなど新たな動きが生まれました。
──ビジネスアイデアの実現に向けて、これからの展望をお聞かせください。
出版後の現在は、海外のことだけではなく、世界から見た日本や京都の魅力や歴史についても発信しています。その中で1番驚いたことは、世界的に見て、日本がとても魅力的な土地だと知らない日本人が多いことでした。海外に行ったことのない方から、最近はお礼のメッセージをもらうことが増えており、もっと海外だけでなく、日本についても発信してほしいとの声もいただいております。
今後は自分自身の映像や音声の活動を通して、海外だけでなく、日本の魅力や強みを、より多くの方々に気づいてもらえるような発信をしていきたいと思います。