IDEA

働く人にプロフェッショナルの実感を

同志社大学
鳥屋尾 恒太朗
同志社大学2回生。中学時代「求心力を持つ人気者はいつも笑っている。ってことはチームワークの要の一つは笑顔なのかもしれない」と気付き、そこから笑いが人や周りに与える影響の可能性を感じ、笑いの力で企業(働く場)を活性化する試みを模索。現在、会社で働く人が学生に自分の仕事を語る場を作るなど、自分の仕事を客観的に捉えられる機会を創出することで、働く人が自身の仕事の新たな意味づけ・矜持を発見できるサービスの構想を進めている。

──現在考えられているビジネスとその目的はどのようなものでしょうか?

ビジネスのタイトルは、「働く人にプロフェッショナルの実感を」です。キャッチコピーは「組織は職人で構成されている」です。学生の学びに対するモチベーションが人それぞれ違うのと同様に、社会で働く人々の仕事に対するモチベーションは人それぞれです。しかし、自分の興味に関わらず、どんな仕事にも何らかの意味があり、誰かを幸せにしていたり、社会とつながっていることが感じられれば、モチベーションは確実に上がり、一人ひとりのモチベーションがちょっとでも上がれば、社会が抱えるネガティブが減ると考えました。そこで、学生の立場だからこそできる、会社で働く人々が自身の仕事の新たな意味づけ·矜持を発見できるビジネスを立ち上げたいと考えました。

 

──具体的な事業としてはどのようなことを計画されているのでしょうか?

一つは、会社で働く一人ひとりに対して、仕事を通して自分が何に貢献し、何を成し遂げているのかについてのオリジナルムービーを作ります。二つ目は、多数の会社が合同で学生に仕事を教える場を提供します。

自分がどれだけ会社や社会への貢献や周りにどんな影響を与えているかを実感できる、カスタマイズしたオリジナルムービーを作成し、貢献の見える化を図ります。また、違う会社や環境で自身と同じ仕事をする社会人と合同で、学生に対して仕事を教えたり、学生の疑問に答えるなどの場を提供します。他社の社会人とともに「教える立場」となる関わりの中から、自身の魅力と会社·仕事の魅力の発見につなげていきます。

 

──ビジネスアイデアの特徴を3つ上げるとしたら、どんなところでしょうか?

一つ目は「働く人の数だけオリジナルムービーがある」。会社で働く人個人に焦点を当てて、その人や同僚、上司へのインタビューなどの調査をし、一人ひとりにカスタマイズ化されたムービーを作ります。要は、自身の仕事を客観視できるムービーです。

二つ目は「教える立場にもなる」。自分が所属している部門や自分がしている業務に興味のある学生に仕事を教える立場になることで、仕事への理解が進み、自分がやっている仕事の良さに気づきます。

三つ目は「他社との交流」。他社の同じ部門や同じような仕事をしている人と同じ場に立ち、学生に仕事について教えることで、他社との経営理念の違いや、自社にはないノウハウや自社にしかないノウハウを知る機会があることで、自身の成長や自分の強み、仕事の意味を再確認·発見する機会を創出します。

 

──なぜこのビジネスアイデアを実現したいと思うようになったのでしょうか?

私は、「大学生は人生の夏休みだ」と高校の先生に言われた時に、社会人とはしんどいものなのか?という疑問を持ちました。大学生になりバイトを始めると、実際に、バイト先の社員の方が、仕事に対して愚痴を言っており、せっかく入った会社でも、満足していない人がおり、原因を会社や上司に求める人が多いということを知りました。調べてみると、今の仕事や会社に満足している人は、半数以下という調査結果がありました。そのことを知った上で、自分が社会人になって仕事をしている姿を想像すると、家で過ごす時間に比べ、仕事をする時間の方が圧倒的に長いのだと感じました。人生にとっての多くの時間を費やす仕事に、やりがいや誇りを感じることができれば、自己肯定感も増し、他人を許容する笑顔と通じる包容力が社会にもより備わるのではないかと考え、アイデアを考えるようになりました。

 

──なぜこのビジネスが今必要だと考えているのですか?

若者の離職率は年々増加傾向にあります。同時に若者に限らず、離職はしていないものの、今の仕事をしている自分に満足していない人も多く、そのような状況では、仕事に対しての興味や意欲は減少します。人生の中で多くの時間を占めるのにも関わらず、です。さらに、そのような不満がある状態では、自分が社会に貢献しているという実感が得にくく、また、その姿に若者が未来への希望を半減させるなどのデメリットがあります。このアイデアは、自分の仕事に対する新たな意味づけ·矜持を発見する機会を創出するものであり、社会に貢献する一員としての個人を確認するものだと思っています。

 

──アクセラレータープログラムに参加した時点での課題意識と、参加した上での成果はどのようなものだったでしょうか?

目指す社会と今の社会とのギャップ(=社会課題)という気づきと、解決する手段(=笑い)を持ってこのアクセラレーターに参加しましたが、最初の面談で、ギャップを埋める手法の具体性と目指す社会の解像度の低さに気付かせてもらいました。そこから、まずは目指す社会の解像度を上げ、誰の何に、どのように働きかけることがギャップを埋めることになるのかの手法を一から考え直すことができました。手法を実際に実現させるための自分のリソースは何か?の整理もすることができました。

 

──ビジネスアイデアの実現に向けて、これからの展望をお聞かせください。

アイデアをビジネスに昇華させるまではまだ準備が必要ですが、企画の大枠はできたので、これからは、実際に企業の方に共感いただく働きかけを行う準備として、サンプルとなるオリジナルムービー作りに着手します。職場での撮影技術や周りの方へのインタビュー·編集法など、一人ですべてを行うには足りない技術もありますので、個人の仕事の貢献を可視化するオリジナルムービーを一緒に創る仲間を募っています。

それと同時に、社会人と学生が集う場をテスト開催します。そこでのフィードバックを元に計画の見直し点の洗い出しをし、学生だからこそできるアプローチ方法、企画にブラッシュアップしていきます。

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