IDEA

手はじめはじめます。組合

環境省 脱炭素創生チーム
結城 貴志
幼少時より身体を通して自然や生き物に触れ、混ざり合いながら、自然に育まれた。自分らしさを表現することが難しい今の社会に生きづらさを感じている。人、土地のありのままの姿を大切にすることで、個人も地域も地球も全ての生命が喜ぶ生活や社会の在り方を実現できないか模索中。これまでは、福岡の里山で育まれ、広島の海を舟で駆け、北海道での雪暮らしを経験して、京都では樹木と関わっている。

──現在考えられているアイデアとその目的はどのようなものでしょうか?

ビジネスのタイトルは「手はじめはじめます。組合」。キャッチフレーズは「〜地球と生み出すものづくり〜」です。地球からものが生まれて地球に還っていくすべての工程に、自分の身体と五感をとおしてふれることで、集う人が新たな自分を見つけ、仲間と共に成長していく活動です。

 

──具体的にはどのようなことを計画されているのでしょうか?

今の自分の在り方、生活の在り方、家庭や職場の人間関係に、言葉にできない違和感を持っている人が、何か新しい風を求めている時、また、頭を使うことだけではなく身体や五感をベースに何かしたいと感じている方に対して、本来私たちが持っている自由で自然(じねん)な感覚を取り戻すための環境を提供するものです。

 

──アイデアの特徴を3つ上げるとしたら、どんなところでしょうか?

1つ目は、地球からいただく→日用品をつくる→生活を彩る
ものが地球から生まれ、地球に還っていく全行程に触れます。森川海で素材を採取、必要があれば地球と共に材料を育む。それを材料に自分の手でものをつくる。そして、それが自分の生活の彩りとなる。最後にそれが地球に還っていくところまでを見届ける。あらゆる工程に触れる過程で、自分の可能性が炙り出されます。

2つ目は、五感と身体の感覚を優先する
身体や五感で感じていることをベースに活動を展開します。まずは頭を空っぽにして身体を動かす。その感覚を仲間と共有する過程で、感じたことを考えることに落とし込み、考えることを感じることに反映させ、その両者を行き来します。

3つ目は、調べる。実行。失敗。の繰り返し
みんな右も左も分からない、経験ゼロの状態から始めます。教えてくれる人は誰もいません。何から初めて良いかも分かりません。仲間と一緒に調べることから始めましょう。また、ここですることは、仕事でも家事でもありません。失敗しても失うものは何もない。トライ&エラーを繰り返す。仲間と感覚を共有する。できることが増えていく。仲間と一緒に成長していく。途中でやめた!も大歓迎。

 

──なぜこのビジネスアイデアを実現したいと思うようになったのでしょうか?

私自身、今の社会に窮屈さを感じています。「〇〇しないといけない。」と言う自分自身の思いこみや、無意識に他者から強いられること、または働く上で組織から強いられることなどなど…そのような環境に24時間浸っている中で、自分自身の心が狭く、貧しくなっていくことに気づきました。その際に私が避難したのが森や海、川で遊ぶことでした。そこで出会う色々なもの、生命に触れることで自分が本来は何物にも何事にも強要されない自由な存在であることを感じました。それがすごく気楽で楽しくて。

それと、私は元々ラグビーをやっていました。ラグビーはトライをするまでに色々な過程があります。ボールを繋いでいくために、そこに色々な人が関わる。時にあっと驚く人智を超えた展開もある。京都の手芸・工芸の制作現場で、ものが少しずつ形になっていく姿を見てラグビーに通ずる面白さを感じました。元々、手仕事が好きだったこともあります。そこで、森川海に浸ることと、手仕事を掛け合わせた時にこのアイディアを考えつきました。

 

──なぜこのアイデアが今必要だと考えているのですか?

今の社会の在り方は地球の表面を上滑りしているように感じています。人間社会の「こうあらねばならない」という雰囲気に人が縛られています。もしくは自分の生活はこうあらねばという考えに人が縛られています。だから、地球に還らないものがどんどん生産される。このアイデアはもっと地球に寄り添った暮らしや社会を創っていきたいと言う思いを持った人が、それぞれの自分に根ざした可能性を基に、それを誰かと一緒に育てていきたいと言うニーズに応えると思っています。

 

──アクセラレータープログラムに参加した時点での課題意識と、参加した上での成果はどのようなものだったでしょうか?

本プログラム開始時点においては、自分が実現したいことのイメージを明確に言葉にできないと言う課題を持っていました。本プログラムが進むにつれて、そのイメージを明確な言葉として表現できました。またその過程においては自分にしっくりくる感覚を重要視することで、より納得感がある成果を得られたと思っています。

 

──アイデアの実現に向けて、これからの展望をお聞かせください。

今回のプログラムで、プロジェクトの構造ができ上がりました。言ってしまうと、私自身がそこにいなくとも、プロジェクトの構造に照らし合わせて色々な人が好きに出たり入ったりできるものができたと思っています。なので、これからはこのプロジェクトに少しでも興味を持ってくれる方の話を聞いて、何か役立てることがないかお話できたらと思います。

出来上がった構造の中で、プロジェクトがメンバーの役に立つように調整する触媒役みたいなイメージでしょうか。今後色々な人がこのプロジェクトに参加してくれて、一人一人が心から楽しめることを軸に、新しいことが始まっていく…そんな未来を楽しみにしています。

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