時空を超える音声メッセージギフト
──現在考えられているビジネスとその目的はどのようなものでしょうか?
ビジネスのタイトルは「時空を超える音声メッセージギフト」。キャッチフレーズは「写真&音楽付きのヴォイスメッセージで、気持ちや想いを未来の相手に届けるサービス」です。過去/現在/未来の時間軸で、1人暮らしの高齢者や入院されている方などが、家族や大切な人との精神的な繋がりを感じられるよう、伝えたい・残しておきたい気持ちや想いをタイムカプセルのように未来の相手へ届けます。
──具体的な事業としてはどのようなことを計画されているのでしょうか?
「孤独感や寂しさ」「離れて生活している家族とのつながりが希薄」と感じる方や、「大切な人に自分の気持ちや想いを伝えたい」「いま自分が本当に思っていることや感じていること=生きた証を残しておきたい」と思っている方々が、写真と音楽を組み合わせた『メッセージギフト』を大切な人に届けられるサービスを計画しています。
高齢化社会が加速する中、多様化するニーズや社会課題に対して、人のエネルギーがダイレクトに感じられる音声ビジネスを通して課題解決を目指します。
──ビジネスアイデアの特徴を3つ上げるとしたら、どんなところでしょうか?
1つ目は、写真と音楽を組み合わせた音声メッセージ。
自分の声で録音したメッセージ(最大5分)をスマホに保存されている写真(最大10枚)と共に、1曲の音楽(プロの楽曲/自分が録音した環境音/ユーザーがアップしたオリジナルBGM)を組合せながら、世界に一つしかない『あなただけのオリジナルメッセージギフト』にして送ることができます。
2つ目は、未来の相手にメッセージを届けるタイムカプセル的なUX。
送りたい相手(複数の人への同時送信も可)に対して、開封可能日時を未来の時間軸に設定し、メッセージを送ることができるので、時空を超えて大切な人に伝えたい気持ちや想いを届けることができます。
3つ目は、音声版寄せ書き。
1人の人に向けて、複数の人による声でのメッセージをパッケージ化することができるので、卒業式や記念日など様々なライフイベントに活用でき、お祝いしたい相手に対して、みんなで幸せをシェアすることができます。
──なぜこのビジネスアイデアを実現したいと思うようになったのでしょうか?
遠方に住む4歳の孫の誕生日に、73歳になる母が「あと何年この子の誕生日を祝ってやれるかな。20歳の成人式になる頃には、ここには居ないかもね…」と何気なく呟いた一言から、このアイデアが生まれました。その場に存在していないかもしれない未来へ想いを残したい、或いは、伝えたい気持ちがあるのに…恥ずかしさや照れくささからしっかり伝えることができていない、といった様々なニーズがあると感じています。
また、マラソン音声アプリを使って42.195kmを一人で走った際に、解説者の実況と沿道の「頑張れー」という声援を聞いた時、テーマソングが流れてくる演出にゴールシーンで感動して泣いてしまったことがありました。声や言葉が人に与える力のスゴさ、勇気付けてくれるパワーを、自分自身が実感したことがきっかけで着想しました。
──なぜこのビジネスが今必要だと考えているのですか?
65歳以上の高齢者が全人口の29.1%にもなる超高齢化社会を迎える昨今、世界的な目標となるSDGsでは「誰も置き去りにしない」というスローガンを掲げています。社会課題解決が重要視されている現在、日本では1人暮らしの高齢者数も増加しており、離れて過ごす家族とのコミュニケーションが希薄であると感じる方が一定数いる中で、このアイデアは孤独や寂しさを感じている一人暮らしの高齢な方々やご家族の方に対して、家族とのつながりや温もりを感じたいというニーズに応えるサービスになると思っています。
──アクセラレータープログラムに参加した時点での課題意識と、参加した上での成果はどのようなものだったでしょうか?
本プログラム開始時点においては、着想したビジネスアイデアが「事業として成立するサービスとなり得るのか?」が不安でした。サービスを実装するための人的な繋がり=仲間集めという部分に、私自身もともと課題を感じていたのですが、本プログラムが進むにつれて、具体的なアクションが明確になり、このアイデアの世界観を固めることができました。
また、メンタリング内容のまとめやタスクの抽出など、献身的なフォローアップをしていただけたこと。そして示唆に富んだディスカッションを通して、新たな着眼点や発想をご教授いただけたことで、大きな気付きを得ることができました。さらに、活躍されているエンジニアや若手起業家の方をお繋ぎいただいたことが、とても大きな成果だと感じています。
加えて事業計画においては、売上やコストといった数値からのアプローチをあまりしていなかった私にとって、ベースとなる指針を示していただけたことも有難かったです。
──ビジネスアイデアの実現に向けて、これからの展望をお聞かせください。
現状まだ、デモグラフィック軸かインサイト軸かで、ターゲットユーザーのセグメント検証段階においてヒヤリングは実施できておりませんが、今後は『エモーショナルバリュー』へのニーズが増えてくると想定しています。これからは特別なハレの日における家族間でのコミュニケーションツールとして、或いは、日常=ケの日に体験したちょっといいことをシェアするツールとして、離れて暮らしていても『こころの繋がりを感じ合える』瞬間を提供したいと思っています。
そして、このサービスをスケールさせることで、声や音から想起される体験をイノベーションし、自分の声で気持ちや想いを伝えることが一つのギフトとなる、温かくてやさしい、今よりもほんのちょっと感動に溢れた素敵な世界にしていきたいと思っています。