IDEA

森がたり〜博士にナイショの僕らの実験室

アンク
川勝 雪貴
2002年京都造形芸術大学洋画コース修了。その後、カフェ、パン製造、デザイン事務所勤務などを経て2020年3月アンク起業。林業女子会@花背、花背ワンダーランド主催。イラスト・デザイン・ワークショップ企画を実施。8月カフェ山ノ根オープン(左京区静市市原町)菓子製造、飲食業を行う。6月より、アンクの部屋/森がたり文庫で発見!と共感の展示スペースを開始予定。

──現在考えられているビジネスとその目的はどのようなものでしょうか?

森とつながる暮らしを通して、自分の中にあるサスティナブルなアイデアを発見する喜びを共有するプロジェクト型ビジネスを考えました。サスティナブルなアイデアって難しそうに思えるけど、実は私たちがこどもの頃に石を何かに見立てて遊んでいた経験とか、葉っぱや木の実を集めておままごとしていた経験の蓄積に詰まっていると思うのですが、共感と共有する喜びをこのプロジェクトを通じてみなさんが感じられることが目的です。

プロジェクトの参加者は、日常生活で自然と触れる機会の少ない子どもたちを想定していますが、大人もこっそり楽しめるんじゃないかと。。(笑)自然から自ら学ぶ意欲の醸成や、アイデアの源泉を育てるプロセス(経験)を提供するコンテンツを森とつながる仕組みの中から産み出し、ビジネス化しました。

プロジェクトネームは「森がたり~博士にナイショの僕らの実験室」です。楽しそうでしょ。

──具体的な事業としてはどのようなことを計画されているのでしょうか?

このプロジェクト型ビジネスは、子どもたちを森の不思議に誘う仕掛けが満載です。森でのリアルイベントの開催だけでなく、実際に森に毎週末、子どもたちが訪れることは時間的にも距離的にも難しい状況を鑑み、森にしょっちゅう来られなくても日常で森を体感できる方法として、ファンタジーという手段を使いました。架空の世界に子どもたちを誘いつつ、自然から自ら学ぶ意欲の醸成を促していく設計です。架空の物語の設定はこんな感じ。『架空の森の住民(動物)たちが、森の秘密を解き明かすために博士とともに研究室で実験を繰り返すものの、実験は失敗ばかり。プロジェクトに参加する子どもたちが博士を助けるべく、自ら実験を始めていく・・・』

物語には子どもたちが自ら実験を始めたくなる仕掛けをたっぷり施し、自然から自ら学ぶプロセスをビジネス化しています。

 

──ビジネスアイデアの特徴を3つ上げるとしたら、どんなところでしょうか?

一つ目は、「森がたりの招待状~ファンタジーの世界へようこそ」です。ファンタジーの世界から飛び出し、実際の「森」に出かけて実験を行うリアルイベントも開催しますが、このリアルイベントには招待状がないと参加できない仕組みにしています。その招待状を獲得できる方法の一つが、不定期開催の「森がたり」のファンタジーの世界をリアルに展示する展示会への参加。展示室に展示している博士の研究所で実験しているもの(森を構成する水・土・木・菌など)のカケラを手掛かりとして森ガタリの招待状が皆さんの手元に届く仕掛けです。

二つ目は、「僕らの実験室」です。このプロジェクトに参加すると、みんなの家に森がたりの研究室から月に一度、今月の博士のお手伝いが届きます。そのお手伝いは実は、森がたりの研究室から助手が盗んできた実験のカケラ。ぜひ、森がたりの研究室からは遠いところに住むみんなにも、このカケラをヒントに、森の危機を救う知恵の提供や助けをしてほしい、と考える助手からみんなへのメッセージです。

三つ目は、「森がたりの木」です。深い森の中にある森がたりの研究室では、未来の森の危険を救うための実験が、博士のもと、日々、繰り広げられています。しかし、実験はなかなか上手くいかず・・・。僕らの実験室で得たアイデアを博士に伝えに行こう!博士の研究室がある森がたりの木を探しに行くリアルイベントです。

 

──なぜこのビジネスアイデアを実現したいと思うようになったのでしょうか?

森を“自分ごと”にし、自然から“想像力”を生み出すセンスを身につけることは、人が育ち、世界をサスティナブルな方向に導くために必要なことだと感じているからです。

これまで“木育”、“自然体験”、“里山の知恵の継承”などを軸にイベントやワークショップを企画・実施してきた中で、人が森を訪れる理由は様々あるけれど、森に出向いて学ぶ方法だけでなく、日々の暮らしの中で森を感じることで得た気づきが次の行動につながるような仕組みをファンタジーの世界で伝えたいと感じたことからアイデアを膨らませました。

 

──なぜこのビジネスが今必要だと考えているのですか?

所属しているNPOでの自然観察会も年々高齢化し、子どものいる家庭は週末も忙しく、子どもたちは習い事で自然の中に身を置く時間をつくることが出来る家庭は少ない現状があることを実感しています。

とはいえ、子どもの頃からのサスティナブル教育、自然観察から派生するデザイン思考を養うことは社会的にも必要とされることだと感じていますが、プロセスを楽しめなければ長続きしない。「森がたり」のようなファンタジーの世界からなら大人も子どもも楽しみながら関われると感じています。

 

──アクセラレータープログラムに参加した時点での課題意識と、参加した上での成果はどのようなものだったでしょうか?

開始時点では、自然保護や森林環境教育につながるようなものはある特定の人だけが関心を寄せるようなもので、ビジネス化は難しいと考えていました。ですが、メンタリングが進むにつれ、伝えるべき人は多く存在することが分かり、それを伝えるための手段とアイデアを自分らしい方法で得ることができたように思います。

 

──ビジネスアイデアの実現に向けて、これからの展望をお聞かせください。

現在、森がたりのHPを準備中で、夏までには公開する予定です。ここで、森がたりの世界をお伝えするアニメーション絵本もつくって公開し、森がたりの招待状を楽しみに待っていてくれる会員を増やしていこうと思います。私たちのプロジェクトへの応援をよろしくお願いします!

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