IDEA

猫と人が一緒にしあわせになる(猫)キャットミン党

白木 聖子
2013年、実家の庭に現れた野良の子猫保護をきっかけに個人で保護活動をはじめる。現在は7匹の保護猫の下僕であり会社員。なくならない捨て猫や野良猫の問題、殺処分数の減少に取り組むプロジェクト「ネコミット」を計画。京都モデルをつくりあげ成功させるべく奔走中。

──現在考えられているビジネスとその目的はどのようなものでしょうか?

ビジネスのタイトルは猫と人が一緒にしあわせになる(猫)キャットミン党。キャッチフレーズはにゃーノーマルをみんなでつくるです。

(猫)キャットミン党」は猫たちが立ち上げた空想の集団です。猫が集まれば会議をしていると噂しますが、本当に会議をしていたら?オンラインサロンでは猫たちの会議をのぞいてみたい猫好きが集まり、猫の代わりとなって猫が必要とするサービスをサロンの収益を使ってみんなで実現させていきます。

 

──具体的な事業としてはどのようなことを計画されているのでしょうか?

猫好きの人が抱える「家族がアレルギーで飼えない」「猫について情報交換をしたい」「野良猫の問題に関心はあるけど解決のために行動するのは難しい」といった葛藤に応えるべく、オンラインサロンを開きます。オンラインサロンでは猫として立ち振る舞い、願いを叶えていくコミュニケーションを取ることで楽しみながら猫生活をよくするアイデアを実現できます。

 

──ビジネスアイデアの特徴を3つ上げるとしたら、どんなところでしょうか?

1つ目は、猫による猫のためのオンラインサロンです。
猫が主体のオンラインサロンを開きます。猫会議では猫のためにやりたいことを話し、猫発信のイベントやプロジェクトが立ち上がります。猫用品のレビューも行われ、食べ物や爪切りなど、猫目線での評価が集まります。会費は猫に必要なものをつくるために使います。また、新しい家族を見つけるためのマッチングサービスも展開予定です。

2つ目は、フードの量り売りストアです。
新しいフードを試したい、うちの子に合うフードを探したいなど、一袋だと多すぎる商品を量り売りで購入できるショップを運営予定です。ショップ店員の猫に気分や好き嫌いを伝えるとおすすめのフードを選んでくれます。

3つ目は、居場所と新しい家族に出会えるネコワーキングです。
保護猫たちの住まいとなるシェルターと人が癒やされながら仕事ができるコワーキングスペースを両立させたネコワーキング。猫にとっては安心して過ごせる居場所となり、人間にとっては譲渡猫に会いに行けて、仕事もできる豊かな場所になります。まずは京都亀岡で開始予定ですが、今後拠点を増やしたいと願っています。

 

──なぜこのビジネスアイデアを実現したいと思うようになったのでしょうか?

私は7匹の保護猫と一緒に暮らしています。2匹はそれぞれ保護猫ボランティアから譲り受け、その後増えた5匹は個人的に活動をはじめた保護活動で家族に迎えました。殺処分の状況や、野良猫の保護という活動に関心を持ったのは今から12年程前に遡ります。保護猫活動を個人でされているお宅を訪問すると、ご自宅や別宅でたくさんの猫たちが新しい家族を待っていました。私はそこで希望の子猫を譲り受け、この事もボランティアだと教わりました。ボランティアにも色々あります。猫用品やフードの寄付、ボランティアスタッフとして猫のお世話、そして保護猫を家族に迎えるということ。私にも私らしい新しい保護猫活動を行うことができるのではないかと思い至りました。

 

──なぜこのビジネスが今必要だと考えているのですか?

コロナ禍でおうち時間の増加とともにペット需要も高まりました。ですが、迎えた犬猫の気性や成長によって体が大きくなった等で残念ながら無責任に手放す飼い主も増えたというニュースや、公園等で地域猫が虐待を受けているニュースを見かけます。

全国的に犬の殺処分は減少していくのですが、猫は各都道府県いずれも少ないとは言えない状況が未だ続く中、去る2018年に岡山県が殺処分0を達成しました。殺処分0は不可能ではない、とても励みになる数字です。私ひとりでは不可能でも、私の思い描く新しい保護活動が、京都の殺処分減少を加速させることができれば達成できるはずだと確信しました。

 

──アクセラレータープログラムに参加した時点での課題意識と、参加した上での成果はどのようなものだったでしょうか?

とにかくネコワーキングスペースをオープンしないといけない、と考えていました。猫が飼える条件で賃貸物件を探すのは大変で、かといって物件購入は初期費用がふくらむ。そんななか実家の家業で使っていた建物が利用できるかもしれないと分かるのですが、集客を望めるのか不安でした。本プログラムではどんな場所で始めてもファンがいれば問題ない、と気づきがあり、オンラインサロンでのファン作りとして「(猫)キャットミン党」の開設に取り組んでいます。店舗を構える思考から猫好きさんとともに成長し、ともに事業を育てていく構想に期待しています。

 

──ビジネスアイデアの実現に向けて、これからの展望をお聞かせください。

ファンに支えられる事が大切だと気づき、そしてこの事業のカギになるファンは無類の猫好きです。オンラインサロンでは飼い猫や保護猫の困りごとの解決、具体的にはフード、猫用品、保護猫の課題、保護猫を預かる施設の建設について考えていきます。一部のテーマはとても堅い社会問題に取り組むのですが重すぎるテーマをカジュアルに捉えてもらえるよう、猫の集会に潜伏する架空スタイルは一役買ってくれることと思います。猫の集会をどんな風に仕掛けていくか、こだわりどころです。

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