育み社員からつくる新しい働き方
──現在考えられているビジネスとその目的はどのようなものでしょうか?
ビジネスのタイトルは「育み社員からつくる新しい働き方講座」。キャッチフレーズは「育児中でも活躍できる」です。社員に笑顔で働いてほしいと願う中小企業が、子育て中の社員と経営者・管理者層に向けた5回の講座を通して、関わるみんなが子育て中の社員の働き方を考え、みんなに愛される人や企業になり、京都や日本全体に笑顔が広がるプログラムです。
※育み社員とは、子ども・自分・会社を育てる人
──具体的な事業としてはどのようなことを計画されているのでしょうか?
社員に笑顔で働いてほしいと願う企業が持つ「子育て中ってなんだか大変そうでお願いしづらい…」「産育休明けにパワーアップして帰ってきてほしい!」など、子育て中の社員の働き方への不安や希望に対して、子育て中の社員だけでなく経営者・管理者層も巻き込んで会社全体の働き方を変えるきっかけを講座として提供します。
──ビジネスアイデアの特徴を3つ上げるとしたら、どんなところでしょうか?
1つ目は、「子育て中の社員をきっかけに会社全体の働き方を考えること」です。
このサービスでは経営者と子育て中の社員と両方を対象に、お互いが気づきを得られ、相互理解を高められる機会を提供します。相手の立場を理解することにより、「どうしたらみんなが働きやすいのか」を考えるきっかけにつなげます。
2つ目は、「参加企業同士の横のつながり」です。
中小企業では「同期がいない」「子育て中の先輩社員がいない」という問題が多くあります。講座に参加することで、参加企業同士の横のつながりができ、様々な問題に対して相談しあえる仲間が社外にできます。
3つ目は、「多様な働き方をサポートする場」です。
講座を運営するutenaworksでは子ども連れで使える働くスペースがあります。講座中に保育士に預けることはもちろん、その他の時間も子連れで利用が可能です。また、関連企業との連携によりオフィスリニューアル、ICT、研修事業等、働くにまつわるすべてを改善する総合的な提案を受けることができます。講座の後も、多様な働き方を実現するために必要なあらゆることの伴走が可能です。
──なぜこのビジネスアイデアを実現したいと思うようになったのでしょうか?
私自身はまだ結婚も子育てもしていませんが、周りをみると子育てをしながら働くことは、「子育て」か「仕事」の二択からどちらかを選ぶ、そんな風に見えるときがあります。「子育て」も「仕事」もどちらもあきらめることなく、自分がやりたいことを実現することはできないのでしょうか?まだまだ頑張って働きたいと思っているのに、子どもができたら諦めなくてはならないのでしょうか?
このような疑問を抱くにつれて、私は「仕事」か「子育て」のどちらかを選ぶのではなく、自分自身がいきいきとする選択ができる、そんな会社が増えていってほしいと思い、今回の事業を考えました。
──なぜこのビジネスが今必要だと考えているのですか?
少子高齢化による労働力人口の減少が進む中で、日本の強い経済を取り戻すためには、女性の活躍推進が不可欠だと言われています。女性が働きやすい社会を作っていくために、国や地方自治体も「出産・子育て等による離職の減少」「指導的地域に占める女性の割合の増加」に向けた施策を積極的に行っています。今回の取り組みは、その中でも、女性の働き方に対してほとんど対策がとれず知識も乏しい中小企業に向けて、新たな働き方を考えるきっかけを作り、「出産・子育て等による離職の減少」にも大きくつながる取り組みになっています。
──アクセラレータープログラムに参加した時点での課題意識と、参加した上での成果はどのようなものだったでしょうか?
参加時点はやりたいことや、それを実現するための具体的な方法は決まっていましたが、それが誰に対しての商品で、どんなメリットがあるのかを考えることができていませんでした。本プログラムの面談の中で、このプログラムが、誰のために、どんなメリットを生むのかを整理していただき、想いだけでなく、より社会的意義の高いサービスとしてまとめることができたと思っています。また、第三者からの視点をいただくことで、自分では思いつかなかったアプローチ方法や考え方を知ることができ、今後のサービス開発にも、活用できそうな気がします。
──ビジネスアイデアの実現に向けて、これからの展望をお聞かせください。
今回ビジネス化できた、子育て中の社員の働き方から企業の働き方を変えていく「育み社員からつくる新しい働き方講座」を、たくさんの企業に導入していきたいと考えています。また本事業が、企業内で働き方を考えるきっかけになり、子育て中の女性が働き続ける場が増えたり、経営者、幹部、働く女性自身の悩みが解消できたりするコミュニティを育めたらいいなと思います。
その先に、中小企業で女性が活躍する場がもっともっとたくさんできて、笑顔で働く人が増え、京都全体が笑顔あふれる街になっていくことが希望です。