IDEA

「衣」の消費を変える、システムとAI開発

株式会社プレタポ
髙山 眞太郎
京都大学経済学部4回生。株式会社プレタポ代表取締役。大学2回生の頃からwebマーケティングの会社や大企業の新規事業室での長期インターンシップを経て、休学中の2020年9月に法人化。「衣」の消費を変えるシステムとAI開発を展開している。

──現在考えられているアイデアとその目的はどのようなものでしょうか?

ビジネスのタイトルはの消費を変える、システムとAI開発」。キャッチコピーは「洋服を共有、処分、購入できる循環を。アパレル企業と共に」です。弊社プレタポは、最終的には衣服の余剰生産がほとんどなくなり、適正な価格で販売されること。そして、一度購入された服が役目を終えるまでできるだけ大切に消費される社会を目指しています。

 

──具体的にはどのようなことを計画されているのでしょうか?

服に関心がある人ができるだけストレスなく服を共有したり、処分したり、購入したりできるという体験を、アプリケーションを通して実現する製品を作っています。

 

──アイデアの特徴を3つ上げるとしたら、どんなところでしょうか?

1つ目はZ世代向けマーケティング」。デジタルネイティブとして時代の最先端を生きているZ世代に対しては、プロダクトとプロモーションはセットになっていないといけないので、僕たちはインスタグラムメディアも作っています。インスタグラムマーケティング担当を筆頭に、Z世代をさらに20個以上のセグメントに分けたり、インフルエンサーを1000人近くリサーチしたりしながらインスタグラムを分析しています。そこから若者に刺さるコンテンツを考えてインスタグラムメディアを制作しています。

2つ目はwebサービスの受託開発/コンサルティング」。僕たちは上記の社会の達成に向けて新事業を考えている会社の方に対して、サブスクリプションシステム開発や洋服のAI開発をしております。

3つ目は「自社プロダクト開発」。僕たちは先ほど述べた社会の達成に向けて、自社プロダクトも開発中です。

 

──なぜこのビジネスアイデアを実現したいと思うようになったのでしょうか?

僕が起業をした動機は、ユーザーに愛されるプロダクトを創りたかったからです。その中でも、誰もが使い自己表現とも密接につながっている「衣」に興味があり、それに関するプロダクトを作って色々な人に使われればと思ったのが最初です。ただ、ファッションを勉強していくにつれて、ファッションの抱える様々な問題と直面しました。例えば低価格化により労働者への搾取が回避できない構造になっていること、年間10億着もの服が着られずに捨てられていることなどが挙げられます。本来、自己表現や自己実現のために楽しく着られるファッションが、裏ではこのような社会問題を引き起こしていることを知り、この課題をなんとか解決できるプロダクトを作れないかと考え始めたのがきっかけです。

 

──なぜこのアイデアが今必要だと考えているのですか?

SDGsへの意識はファッション業界でも意識的に捉えられるようになりました。地球の資源は有限であり、また、ある国の人が楽しむために他の国の人が犠牲になるような社会は間違っているという認識が広がってきています。その一方で、ファッションとは楽しいもので消費による喜びは人生を豊かにしてくれるものであるとの見方も消えることはありません。確かに、生産者がテクノロジーの活用や国からの要請により生産量を調整できるようにするアプローチもなされています。しかし、消費者がファッションを楽しみながらも、社会全体に対してポジティブな消費ができる世の中を作る必要性、消費者側からのアプローチをする企業の必要性を私は感じています。

 

──アクセラレータープログラムに参加した時点での課題意識と、参加した上での成果はどのようなものだったでしょうか?

本プログラム開始時点においては、古着を用いたサブスクリプションサービスを作っていました。このプロダクトは主に10代を中心とした若いユーザー、特に初期は古着が好きな方に対してサブスクリプション型の消費を提案するものでした。ユーザーからすると、1ヶ月に5着服を借りて6000円毎月支払うというものです。服を買い始めの頃は失敗の多さや好みの移り変わりの激しさにより、プチプライスな服を買ってすぐに手元から離すという消費が多くなります。それならば、良いものを借りて気に入った服だけそのまま着て、飽きたら別の人に着てもらうという消費をした方が社会にとってもユーザーにとっても幸せなのではと思って作ったものでした。

実際にβ版を使ってもらっていたのですが、結果的にはビジネスモデル上の問題が一部あったのと、ターゲットとしていたユーザーに思ったよりも刺さらなかったことから事業転換を決めました。本プログラムでは、事業転換の意思決定から別の課題設定を手伝っていただきました。

 

──アイデアの実現に向けて、これからの展望をお聞かせください。

前回のプロダクトでは、ユーザーのインサイトからではなくアイデアが先行してしまっていたことや、目指す規模を達成するまでのビジネスモデル上の詰めの甘さがありました。今後は、「衣」に関わる社会課題の解決と、自己表現としてのファッションの楽しみが両立されるようなプロダクトを創りたいと思っています。そのために現在は前回よりも重大な課題に対してアプローチしようと、ヒアリングやリサーチを進めています。

また、本プログラムにおいて、自分たちが持っているサブスクリプションモデルのシステム·オペレーションの知識や開発周りの知識を活かして、同じく消費の在り方を変えるような事業をしている会社様との関係も繋げていただきました。結果として、自社でプロダクトを作る以外の社会への価値提供の可能性を感じることができました。

弊社では消費者向けのプロダクトを作る一方で、弊社にあるAI/アプリ開発などの知識を活かし、似た志を持っている企業様とも協力して社会に価値提供していくという姿勢で今後も活動できればと思っています。

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