IDEA

British Music Association Japan

一般社団法人英国音楽協会(BMaJ)
谷本 綾香
京都インターナショナルスクールを卒業後、国際バカロレア資格及び同バイリンガル資格を取得し、大阪インターナショナルスクールを卒業。奨学金を受け英国王立音楽大学学士課程と大学院を修了。英国王立スコットランド音楽院オペラ研修所で奨学生として2年間の研修を受け修了。英国の Opera Holland Park、English National Opera やフランスの Opéra de Baugé などで活躍する。日本では大阪フィルハーモニー交響楽団や大阪交響楽団のソリストとして共演している。国内外のコンクールで数々の賞を受賞。現在は京都を拠点に、一般社団法人英国音楽協会の代表理事を務める。

──現在考えられているビジネスとその目的はどのようなものでしょうか?

「クラシック音楽をより身近なものに。」をキャッチフレーズに、英国音楽の普及に特化したビジネスを考えています。ビジネスの開始にあたり、一般社団法人英国音楽協会(British Music Association Japan〈以下BMaJ〉)を2020年9月に設立しました。

「クラシックは知っているけど敷居が高い」という方や「英国音楽って何?」という方に向けて、身近な場所でのコンサートの開催や体験型ワークショップ、英国音楽に特化したコンクールを開催し、英国音楽の認知度向上と、音楽の背景にある文化についての知見を広げ、深めます。

 

──具体的な事業としてはどのようなことを計画されているのでしょうか?

BMaJは、独自のコンサートやコンクール、ワークショップの活動を通じて、大人から子供まで広い世代の方がクラシック音楽に触れられる場を作っていきます。同時に若手演奏家の育成にも取り組み、演奏の場の提供や著名演奏家の公開レッスン等も計画中です。

 

──ビジネスアイデアの特徴を3つ上げるとしたら、どんなところでしょうか?

一つ目は、日本初の英国音楽に特化したコンクールの開催です。このコンクールを日本では馴染みの浅い英国音楽や英語の詩の紹介の場とし、出場者、視聴者双方にとっての異文化への興味喚起と異文化交流を促進していきます。

二つ目は、子供のための体験型コンサートやワークショップの実施です。幼少期にクラシック音楽に触れると、身体的、精神的、知性的な発達に良い影響を与え、認知、感覚の発達を促すと言われています。ワークショップでは一緒に音楽を創り上げるプロセスや声や楽器で音を奏でる学びを通して心豊かな人間形成に寄与したいと考えます。

三つ目は、若手演奏家の支援です。音楽で生計が立てられる社会づくりを目指し、若手演奏家の活躍の場としてのコンサートの開催や普段受けることが叶わない英国の教授や演奏家の公開レッスンを提供していきます。夢を諦めずに済む社会を。若手音楽家の未来を創っていきます。

 

──なぜこのビジネスアイデアを実現したいと思うようになったのでしょうか?

ヨーロッパでは、オペラ鑑賞やクラシック音楽のコンサートが日常の延長線上にあり、若い人たちも「Cool!(かっこいい)」と言ってよく観に行きます。ヨーロッパではこれらの芸術が文化的に根付いており、子供の頃から芸術に触れる経験が日本よりも豊富です。一方、日本では、クラシック音楽を伝統芸術特有の敷居の高さで捉えるがゆえに残念ながらヨーロッパのような環境にまだなく、クラシック音楽の魅力が人々に届きにくい状態にあることを残念に思っていました。そこで、クラシック音楽の敷居を下げ、身近に感じていただける演出や、次の世代にも愛されるようなアップデートした魅力ある見せ方で、人生を豊かにするクラシック音楽の素晴らしさを伝えたいと思ったのがきっかけです。イタリア、ドイツだけでなく英国の歴史あるクラシックの魅力も同時に伝えていきます。

 

──なぜこのビジネスが今必要だと考えているのですか?

日本のクラシック音楽業界は、演奏者が職に就くこと、そして、演奏家として生活を成り立たせることが困難な状態です。将来、演奏家を夢見る子供たちにも希望を与えるため、そして、クラシック音楽人口を増加させるためにも、演奏家が生活基盤を整えられる社会をつくることが大切だと考え、「クラシック音楽をより身近なものに。」をキャッチフレーズとしたビジネスを立ち上げました。

ヨーロッパにはイタリア、ドイツに限らず、歴史ある素晴らしいクラシック音楽があふれています。その芸術の魅力を知っていただき、日常に取り入れることは、日々の生活を豊かにする一つの術でもあります。子供たちが幼少期から芸術に身近に触れられる機会の創造や、演奏家の演奏機会の創出などを通して、日本において日常にクラシック音楽を聴く·奏でる習慣がある未来を作ることが、演奏者の生活を豊かにするとともに、視聴者の心豊かな人間形成につながると考えます。

 

──アクセラレータープログラムに参加した時点での課題意識と、参加した上での成果はどのようなものだったでしょうか?

参加前は、アイデアはあるものの、事業の実現や支援を得る方法、設立したばかりのBMaJの広め方など一人で行き詰まっていましたが、プログラムでは、アイデアを具現化するためのプロセス一つひとつに伴奏いただき、スタート地点に立てる状態まで導いていただきました。18歳から渡英した私にとって、日本の慣習やシステムが学べたことも大きな収穫でしたし、可能性の視野も広がり、やらなければならないこともはっきりしました。正直、参加する前はこれほど親身になってフォローアップしていただけると思っていなかったので、とても感謝しています。

 

──ビジネスアイデアの実現に向けて、これからの展望をお聞かせください。

事業計画が進む中、やはり当協会に必要なのは、賛同いただけるサポーターや仲間だと改めて感じています。コンクールやコンサート事業、教育機関でのイベントやワークショップなどを支援·協力してくださる方を常に求めていますので、ぜひ、興味関心を持ってくださった方はご連絡いただければと思います。また、英国の文化や音楽に興味をお持ちの方とともにネットワークを構築し、一緒に学び合える機会を作っていきたいとも思っています。

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