IDEA

Katharsis Digital Hub

京都大学
中尾 真徳
1997年 佐賀県武雄市山内町に生まれる。2013年 佐賀県立武雄高校入学。2014年 スイスへ1年間交換留学。2017年 国立京都大学入学。2019年 語りをコンセプトにしたBarである「語りBar Katharsis」を創業。2021年 京都大学院入学予定。小学校低学年から高校までは少林寺拳法をしていました。中学の時には全国制覇したこともあります。大学では、主に経済思想や社会思想を学んでいます。

──現在考えられているビジネスとその目的はどのようなものでしょうか?

ビジネスのタイトルは、Katharsis Digital Hub。キャッチコピーは「交流自然発生装置」です。K D H交流自然発生装置は、同じ空間内にいるスタッフやお客様の特徴や趣味、好きなものや発信したい情報などのデータを可視化し、ディスプレイにリアルタイム表示することで、その場にいる人たちが相手のことに興味を持ち、交流するきっかけを作るプロジェクトとして誕生しました。

 

──具体的な事業としてはどのようなことを計画されているのでしょうか?

新しい人との自然な交流を求めている人が持つ「〇〇な人と会って話したいが、その場にいる人がどんな人かわからない」、「〇〇な人が集まる空間を求めているが、どんな人がよく集まっているのかわからない」などの交流の第一歩のハードルに対して、その空間内の人の特徴のデータを可視化することによって、話しかけるきっかけ作りや自然な交流を生み出すきっかけを作ります。

 

──ビジネスアイデアの特徴を3つ上げるとしたら、どんなところでしょうか?

一つ目は、空間内の利用者のリアルタイムでの可視化。空間利用者に会員登録してもらうことによって、来場時のチェックインと退場時のチェックアウトを通して、その場にいる人の登録情報をリアルタイムに可視化ができる。会員登録時の情報がディスプレイに反映されることによって、この空間にいる人がどういう人でどんなことに興味を持っている人なのかを可視化することができます。

二つ目は、ディスプレイ広告表示。スライドショー形式で流れる空間利用者のプロフィールの間に、チラシやポスターなど空間や利用者に適した情報を挟むことで、その空間の利用者に対して注意喚起や開催されるイベント情報を提供し、企業広告などを表示することで導入者に対する収入モデルの構築ができます。

三つ目は、来店ポイントによる追加機能。利用者のチェックインごとにポイントを貯める機能を持っているため、どんな人がどのくらいの頻度で利用しているのかのデータを取ることが可能。また、獲得ポイントに応じて利用可能になるデジタルコンテンツなどを用意することができ、利用者に対して特別感、満足感を提供できます。

 

──なぜこのビジネスアイデアを実現したいと思うようになったのでしょうか?

人々が自然に語り合い、お互いの視野や可能性を広げられるような空間を創出したいと思い、2019年から「語り」をコンセプトにしたBarを大学近くで経営してきましたが、「語り」というものはお互いのことに興味を持っているという状態において発生するものであったため、「語り」を自然に発生させることは難しかった。その中で交流をデザインするため様々な取り組みしてきたが、会話が生まれない一番の原因になっていたのは、お互いにお互いのことを知らないという状態だと気付いたことをきっかけにアイディアを考えるようになりました。

 

──なぜこのビジネスが今必要だと考えているのですか?

フリーランスが増加傾向にあり、またコロナウイルスなどの状況でテレワークが推進されオフィスへの出社が減ってきたことにより、社員同士のコミュニケーションが減少し、会社への帰属意識が薄れてきている。こうした個人単位での働き方が増加する状況の中、新たな事業拡大や、社員の会社へのエンゲージメントを高めるための交流、イノベーションの創出のためアイディア交流やビジネスパートナー探しといったニーズは常に存在する。このアイデアは、このような働き方が主流になる社会に適した形で、交流に対する要望に応えるものになると思っています。

 

──アクセラレータープログラムに参加した時点での課題意識と、参加した上での成果はどのようなものだったでしょうか?

元々、経営するBARにおけるコミュニケーション活性化を軸に作ったプロジェクトであり、本プログラム開始時点においては、プロトタイプとアイディアを持ってはいるものの、どのように人に利用してもらい、その上でどのような展開の仕方があるのかといったビジネスの展望に対する限界や不安を感じていました。しかし、本プログラムが進むにつれて、当初イメージしていたBARやコワーキングスペースでの利用という形だけでなく、アフターコロナにおいて変化していくオフィス環境に対して、そこで生まれる課題を埋める形で展開するというアイデアや、実際にこのKDHを導入していただく事によって、利用におけるフローの中でどのような問題と現場感があるのかという事を知ることができました。

 

──ビジネスアイデアの実現に向けて、これからの展望をお聞かせください。

実際にKOINの中で、KDHを試験導入していただいた事で、このサービスを展開する上で、さらなる現場における課題を認識することができました。BAR、コワーキング、オフィスなど空間の特性に適応した交流のデザインの仕方ができるようにサービスを展開し、より多くの場所に導入していただくことを目指していきたいと思っています。また、オフィスなどへの展開については、このKDHを活用することで解決できそうな課題がたくさん存在すると感じているので、そこに対してKDHが具体的な解決策を提示するとともに、社会にアフターコロナーにおける新しい交流のあり方を提示したいと思っています。

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