Real-VR(リアルヴィアール)
──現在考えられているビジネスとその目的はどのようなものでしょうか?
ビジネスのタイトルは「Real-VR(リアルヴィアール)」。キャッチフレーズは「簡単!次世代の“動ける”写真」です。
Real-VRは、現存する空間をそのまま3D空間として記録することにより、これまで写真や映像では表現できなかった体験型の新しい視覚メディアとして、あらゆるデバイスのWEBブラウザで閲覧可能な体験型3D空間を提供します。
──具体的な事業としてはどのようなことを計画されているのでしょうか?
企業や大学、公共施設の広報、デザイナーの「3Dアーカイブには興味があるが、高価で専門的すぎる」「従来の視覚メディアである写真や映像では伝えたいことが伝えきれない」「見学会などで人手を取られてしまうのを何とかしたい」といった従来の視覚メディアや3Dの課題を乗り越える3Dコンテンツの提供を可能にします。また「セキュリティ面からオフラインで使いたい」という要望にもお応えします。
──ビジネスアイデアの特徴を3つ上げるとしたら、どんなところでしょうか?
1つ目は、本物であること。3DCGといえば、映画などでよく見る「作られたもの」というイメージが一般的ですが、Real-VRの特徴は「現存するもの(本物)だけを記録する」ところにあります。
2つ目は、新しいメディアとして。写真でもなく映像でもない、本物を撮影したデータと、従来の3DCGの技術をバランスよく組み合わせることで実現する、体験型視覚メディアです。
3つ目は、使える3D。3Dコンテンツの制作、3D撮影などは、従来高額になってしまうことが多く、アウトプットも一部の嗜好者向けであることが多かったです。Real-VRは、WEBブラウザを介して誰でも簡単に閲覧可能で、撮影費も安価、作成も表示も速いというこれまでの導入障壁になっていた部分を解決しています。
──なぜこのビジネスアイデアを実現したいと思うようになったのでしょうか?
もともと大学は超アナログな美術系で木版画を専攻していたのですが、そこで美術に限らず表現することを伝えるものは全てメディアであり、これからは情報化されたメディアの時代になる、という恩師の言葉に感銘を受けました。2000年頃からはATRなど先端技術の研究施設にも関わり、そこから3DCGや3DCADを扱う仕事をしてきました。3D技術は映像業界など専門的な分野ではすでに浸透していたものの、もっと身近なところで有用な使いみちがあるのではないかといつも感じていました。
様々な人との出会いの中で、ついにこれまでの経験を全て活かせるような技術とシステムに出会いました。これまで、技術とはより高精度なものほど良いという考えでしたが、そこに「時間」という価値観を取り入れ、必要な品質をより短時間で、という方法で別の価値を作り出せると気づきました。
技術は人が扱いやすい形であって初めて役に立つものだと実感し、このビジネスアイデアを広めたいと思ったのです。
──なぜこのビジネスが今必要だと考えているのですか?
現在、一般的な視覚メディアは写真(画像)や動画(映像)です。これらで今は十分と感じている人も多いでしょう。しかし、自動車王ヘンリー・フォードの「もし顧客に、彼らの望むものを聞いていたら、彼らは『もっと速い馬が欲しい』と答えていただろう。」というこの言葉にあるように、顧客は自分の知らないものを考えたり答えたりすることはありません。自動車がそうであったように、3Dも現在は一部の嗜好者や専門家のものと思われがちです。しかし、一度「使えるもの」として使われ始めると一気に普及する可能性が高い段階にきている技術です。Real-VRは、その先駆けとして走り出しています。
──アクセラレータープログラムに参加した時点での課題意識と、参加した上での成果はどのようなものだったでしょうか?
本プログラム開始時点においては、事業をすでに展開しはじめているものの、より具体的な計画策定の必要性を感じており、地元京都の起業家や経営者の先達とのネットワーク構築をどのくらいできるだろうかという期待を持ってプログラムに参加しました。結果的にはKOINコーディネーターや関係者の皆様の身近で献身的なフォローアップにより、事業の具体的な計画策定が進み、実際にご紹介いただいてネットワークが広がりつつあります。
──ビジネスアイデアの実現に向けて、これからの展望をお聞かせください。
この2カ月で事業計画の策定が進んだので、それをブラッシュアップして資金調達などにも活用していきたいと考えています。
これからは京都の経営者層や異分野で活躍する方々とのネットワークをKOINを起点に構築して、事業の周知と共に更にイノベーティブな事業となるように展開していきたいと思っています。