IDEA

tucu-motto

近藤 隆
実家にあった古い書棚の使いみちを考えたのがきっかけとなり「使わなくなったから捨てる」ではなく「つかう工夫をもっと!」をキーワードに活動を開始。さまざまな分野の職人さんのお話に耳を傾けている時が至福の時間。SDGsの“つくる責任・つかう責任×つかう工夫”で、職人技もモノも循環できれば...と、取り組んでいます。

──現在考えられているアイデアとその目的はどのようなものでしょうか?

ビジネスのタイトルは「tucu-motto(ツクモット)」。キャッチフレーズは「使う工夫が価値になる仕組みづくり」です。tucu-mottoは「これまで大切につかってきたもの」をニーズに合わせてリペアやリメイクを施して、「これから大切に使ってくれる人」へつなぐプロジェクトです。

 

──具体的にはどのようなことを計画されているのでしょうか?

価値を分かってくださる方に使ってもらいたい、捨てるにはもったいないといった「大切に使ってきたオーナーさまのモノへの想い」を、専門職人さまによるリペアやリメイクを施して、大切に使って下さる方にバトンタッチすることで「想いも資源も有効活用する」という情緒的価値が育まれます。新しいオーナーさまは、つかう責任を通じて新しいストーリーを育んでいただけます。

 

──アイデアの特徴を3つ上げるとしたら、どんなところでしょうか?

1つ目は、「『想いのマッチング』を大切にします
金銭的な価値に加え、想いという情緒的な価値も大切にした流通を心がけます。

2つ目は、「職人さまネットワークを提供します」
つかうためのアイデアや、専門職人さまの知見を通じてモノの価値を高めます。

3つ目は、「全てが一点もの、オンリーワン」
量産品や現状品として提供するものではなく、一手間かけて流通する一品です。

 

──なぜこのビジネスアイデアを実現したいと思うようになったのでしょうか?

大切にしてきたモノへの「想い」と、つかい続けるための「工夫」を価値として流通させたいと考えています。実家は三代にわたって約100年間、京都で扇子加工の仕事を営んできました。左利きが矯正できず鋏が逆だからと、私は家業を継がずに父母の代で廃業となりました。実家には100年間つかい続けてきた職人道具が沢山あります。「大事につかってくれる職人さんがいたらなあ…」というのが高齢になった母の想いです。

これら職人道具にはモノ自体の価値と、モノにまつわるストーリーとしての価値=情緒的な価値があると思います。つかい方アップデート。「想い×工夫」で資源を循環させることは、今を生きる私たちの役割だと考えています。

 

──なぜこのアイデアが今必要だと考えているのですか?

最近は若い世代を中心にリユース品へのニーズが高まり、市場は拡大傾向にあります。しかしリユース品の取引は、所有移転=新たな付加価値を創出しないことからGDP(Gross Domestic Product 国内総生産)には計上されていません。将来的にはGDPへの反映も検討されているといわれています。経済成長が大切であることは明白である一方、「持続可能な経済成長」というキーワードに大きな意味が含まれていると思います。

大量生産・大量消費・大量廃棄といった循環だけでなく、tucu-mottoが提供するサービスを通じて、想いや工夫を付加し連続させることで廃棄物軽減・資源の有効活用から評価する指標、例えばGHP(Gross Happiness Product 国民総幸福量)としてGDPとの掛け合わせにより「消費の在り方を考える」仕組みづくりに繋がると考えています。

 

──アクセラレータープログラムに参加した時点での課題意識と、参加した上での成果はどのようなものだったでしょうか?

本プログラムの開始時点では「アイデア自体にニーズがあるのか」「どのようにアプローチすればよいのか」が全く分からず煮詰まっていました。プログラムのメンタリングを通して、親身になって新しい視点やアプローチ方法をディスカッションして頂き、進むべき方向性が明確になりました。また具体的な連携先として、何社も京都内外の地域企業を紹介してもらい、プログラム終了後からすぐに連携可能性を高めるアクションにつながったことは、事業化に向けた大きな一歩であり感謝しています。

 

──アイデアの実現に向けて、これからの展望をお聞かせください。

アイデアの実現に向けてリサーチや協力のお願いを始めました。現在は古箪笥など、木でできた生活骨董の有効活用をテーマに取り組んでいます。もし、身近に提供可能な古箪笥や古い木工製品があれば、「こんな木工製品があれば使ってみたい」といったお声と一緒に提供いただけるとありがたいです。また「ご近所に職人さん」がいらっしゃれば、どのような分野でも結構です、ぜひご紹介いただければありがたいです。リペアやリメイクへの協力をお願いするだけでなく、職人さんが手がける製品のPRなども今回の取り組みを通じて手掛けていきたいと考えています。

なおしてつかう文化を京都から、「想いと工夫と、職人さんネットワーク」をひろげてサービスを提供できるように頑張ります。

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