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テクノロジーを生み出す人であれ。XRから考える未来の働き方|12/5 開催イベントレポート

WRITER : 北川由依
PHOTO : 北川由依

「すごい」「おもしろい」「何これ〜!」。あちこちから感動や驚きの声が聞こえてくる。この日、共創の場KOINでは見慣れない機材を扱う若者の姿があった。

12月5日、35歳以下を対象とした第5回目のイベント「近未来体験を通して考える未来の働き方と生き方」が開催された。この日講師を務めたのは、1000名を超えるハッカーが所属するコミュニティ「大阪駆動開発」のXin Suzuki(シン・スズキ)さんと山地直彰さん。実は、ARやVRを総称する言葉「XR」の名付け親だ。

AR、VR、スマートスピーカー、VTuberなど次々と新しい技術が生まれ、世の中にインパクトを与えるテクノロジーは、近未来を生きる私たちの生活をどのように変えるのだろうか?大阪を拠点に活躍するお二人とともに、近未来の働き方・生き方を探った。

注)
AR:「Augmented Reality」の略。拡張現実。現実の世界にバーチャルの視覚情報を組み合わせて表示する技術。
VR:「Virtual Reality」の略。ユーザーの五感を含む感覚を刺激し、仮想世界に入り込みまるで現実のような体験ができる技術。
MR:「Mixed Reality」の略。複合現実。現実世界と仮想世界をARよりも重ねあわせることが可能。目の前の空間に情報を3D表示させ、バーチャルの世界をよりリアルに感じることができる。

最新テクノロジーに触れ、未来を想像する

会場に集結した、最新ガジェット。「まずは使ってみましょう」と、受付開始と共に体験会が始まった。Xinさんと山地さんに教えてもらいながら、一人ひとり興味があるデバイスを装着。

まずはVRのゴーグルを装着。この日のコンテンツは、仮想世界の中に現れる球体を撃ち落とすシューティングゲームだ。リモコンを用いたモーションコントロールによって自分の動きがVR映像内に反映されるため、参加者からは「わ、球体が現れた!」「操作が難しい…」など感想が漏れた。

また、MRデバイスを装着すると、現実世界に3Dオブジェクトが登場。KOIN内の机の上に配置したり、壁に貼り付けたりして遊ぶことに参加者は夢中に。

VRやMRデバイスは高価なため、まだまだ個人購入のハードルは高く、気軽に試せる場所も多くはない。最先端技術を楽しむ貴重な機会に、イベント開始直後から熱気に包まれた。

左:Xin Suzukiさん
右:山地直彰さん

XRの登場で働き方・生き方はどう変わる?

近未来の技術に触れ未来にワクワクしたところで、ここからはゲストトークへ。スライドに映し出された9つのキーワードから、参加者が気になるものを選択し、ゲストがそれに答える形で進んだ。

Q:注目のXRビジネスや企業はある?

Xinさん 「コンシューマー向けのゲーム用VRアプリから、産業用途のVRアプリが広がっていくでしょう。先日MRデバイス『HoloLens 2』が発売されました。業務効率化や経費削減を図るため、会社や工場で使うビジネス向けVRアプリが増えていくのではないでしょうか。

例えば、建設会社で工事予定の建物を3Dで表現したり、自動車メーカーで車をデザインする時、手の動きだけで調整しながら製品を作り上げたりする未来もすぐそこまで来ています。」

山地さん 「しかし、ネックとなるのは価格です。『HoloLens 2』は約38万円。一般ユーザーには手が出にくい価格帯です。今後、低価格化・小型化が進めば、一般消費者にも手が届くものになるでしょう。」

Q:バーチャル空間が発達すると、人との関係は希薄になる?

Xinさん 「逆に、人と会う時の価値が上がると思いますよ。離れているからVR会議にしようという流れになるのか、それとも顔を合わせて話をした方がいいのかを判断することになるでしょうね。テクノロジーが発達するほど、会う人が特別な存在になるはず。」

●未来の会社では、人間は何をしている?

Xinさん 「自分の思うことをやっているんでしょうね。やりたくないことは、やりたくない。」

山地さん 「みなさん生活を送る上で、それぞれの場に合わせた自分があると思います。職場、学校、家…同じように、バーチャル空間内にも新たな自分ができるのではないでしょうか。そこで、思い思いのやりたいことをやっていくような気がします。」

●未来に向けて今できることは?

Xinさん 「情報を鵜呑みにするのはやめた方がいいです。『SNSで流れてきたから』『YouTuberが言っていたから』ではなく、自分で考える力を身につけましょう。」

●テクノロジーによって働き方はどう変わる?

Xinさん 「僕は人間が働かなくてよくなったらいいなと思っています。VRを使えば、遠隔地の作業支援が可能になり、MRでは自動車や建築などその場にいなくてもまるで存在するかのようにデザインや設計をできるようになるので。

山地さん 「でも、どんなに技術が発達しても、人間がやることが全く無しになるわけではないですね。ここは個人的に考えていきたいテーマなので…働かなくていいよう自分の分身をバーチャル空間に作って、そっちに働いてもらえるよう実験していきたいです。」

テクノロジーを作る側であれ

イベントの最後、ゲスト二人からこんなメッセージが送られた。

Xinさん 「みなさんには、ぜひ受け身ではなく、プレイヤーやアクターになってもらいたいです。僕はもともと文系出身。大学卒業後に開発を始め、今は作り手側になりました。『私は文系だから…』と諦めるのではなく、やりたいことベースでやりたい仕事に就いてほしいと思います。

もしプレイヤーにならなくても、作り手を応援するアクターとして、『お金を寄付する』『SNSでシェアする』などはできます。大阪駆動開発のコミュニティは京都でも活動しているので、ぜひ応援していただけると嬉しいです。」

 

山地さん 「今日足を運んだということは、XRに思うところがあるってこと。初めて会った人同士で何か生まれたり、ゲストと何かしたり、話す中で『こんなことやったらおもしろそう!』ってことが出てくると思います。今日ここから、みなさんが次に繋がる行動をとってくれたら嬉しいです。

関西を盛り上げたいと思い、大阪駆動開発という名前にしたので。東京以外でも技術系コミュニティは盛り上がっているぞとアピールしていきたいですね。」

AIの発達で人間の仕事はなくなる?テクノロジーの発達は私たちの生活をどう変えるのか?

イベントスタート時には、目覚ましいスピードで発展を続けるテクノロジーにワクワクすると同時に、不安を感じている参加者もいた。しかし、ゲストお二人の言葉から、テクノロジーをどう生かすかは個々に委ねられており、だからこそどう生きたいか、働きたいかを考えることが大切であると感じた参加者も多かったのではないだろうか。

イベント終了後にもデバイス体験会を実施したが、再びXRの世界に触れたいという参加者が列を成し、大いに盛り上がった。Xinさんと山地さんが願うように、この場からテクノロジーを生み出す側に回る人がどれだけ出るだろうか。答え合わせはまだ先だが、大いに期待できる時間となった。

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