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僕たちを助けてくれる人は、何人いる!?MIYACOとコロナの100日実験 | 7/2開催イベントレポート

WRITER : 北川由依

緊急事態宣言の解除から早1ヶ月以上。京都の街にも人通りが戻ってきた7月上旬、KOIN主催イベント「MIYACOとコロナの100日実験〜自分らしく我がままにビジネスをするための『挑戦』と『失敗』と『学び』〜」をオンライン開催した。

ゲストは、KOINが主催するU35イベントの企画・運営などにも関わる、株式会社MIYACO(2020年8月に株式会社美京都から社名変更)のみなさん。海外インターンシップやゲストハウス運営を事業に持つMIYACOも、大きな打撃を受けたはず。緊急事態宣言中から解除後までの100日間、彼らはどのような日々を送っていたのだろう。

代表の中馬一登さん、取締役の徳田直也さん、そして人材・教育事業部の平岡慎也さんと仲田匡志さんの4名が本音で語った。

売上はほぼ100%減。それでも毎日楽しかった理由

「僕たち、オンラインは苦手なんです」

中馬さんの思わぬ発言から、イベントは始まった。そんな発言に参加者のみなさんは温かい目を向ける。この日ZOOMに集まったのは、KOINオンラインイベントの中で最多となる約60名。MIYACOの注目度の高さを示すように、チャットには次々とゲストへの挨拶や雑談が書き込まれていく。

MIYACOは2014年創業。海外インターンシップや人材研修を展開する人材・教育事業、ゲストハウス運営やエンターテイメントショーを手掛けるエンタメ事業、ブランディングやサイト制作を請け負うデザイン事業の3つを柱に運営している会社だ。本年8月には、社名を美京都からMIYACOへ変更。共にサービスやビジネスを作っていく会社になることを決意し、MIYA”CO”としたそうだ。

日本で新型コロナウイルス感染症の患者が増えた3月から緊急事態宣言が解除される6月までの約100日間、MIYACOも大打撃を受けていた。

左から中馬さん、徳田さん、仲田さん、平岡さん

 

「海外インターンシップやゲストハウス事業は、売上ほぼ100%減でした。ただし、マイナスもありましたが、プラスの出来事もありました。」(中馬さん)

それぞれに聞いていこう。

 「一番のプラスは、生産性を上げる方法を見つけたこと。コロナ前は毎晩会食に行っていましたが、これを機に食事、運動、睡眠を見直し、自分に合う仕事スタイルを見つけました。朝・昼の食事を抜き、飲酒せず、ランニングや縄跳びなど適度な運動をすると、ハイパフォーマンスな仕事ができるようです。」(中馬さん)

「日頃関わる10代の子ども達と、世界は僕らに何を望んでいるのかを問い、考えました。『友達のお父さんが観光の仕事をしていて大変…』との身近な話から、未来に残したい京都企業を紹介する企画を立ち上げました。オンライン取材し、SNSにアップする想定で進んでいます。」(仲田さん)

「時間があったので、以前から関心のあったバイオリンを始めました。10月には100人規模のコンサートを開催予定です。一生付き合っていける趣味になりそうです。」(平岡さん)

「経営をする上で緊急度は高くないけど、重要度は高い歴史を学びました。NHKオンデマンドに加入し、たくさんの番組を見ましたね。中でもおすすめは『100分で名著』。古典に馴染みのない人も、とっつきやすいんじゃないかな。」(徳田さん)

緊急事態時に生き残れる会社って?


海外インターンシップの様子。現在企画は中止しているが、アフターコロナに向けて準備を進めている。

じっくり自分や社会と向き合い、日々を充実させていたMIYACOのみなさん。そこから何を学びとったのだろう。

 「経営者の美意識や人間性が出たのが、コロナ期間でした。大変。しんどい。助けてほしい。そんな中でもセンスがある人は、僕らにもメリットのある設計をして、僕らも気持ち良くなるようにメッセージを届けてくれた。ただ困っているから助けて欲しいって言う人よりも、応援したくなりましたし、今後も付き合っていきたい人が明確になりました。」(中馬さん)

近年は、台風や地震などの自然災害も多く発生しており、不確実な時代と言われている。「支援を受ける人も支援をする人もハッピーになれるサービスの仕組みをどれだけ作れるかが重要になる」と中馬さんは続ける。いざという時、ポイントとなるのは信頼関係。コロナ禍の中で、中馬さんはこんなリストを作ったと言う。

 「僕らも大打撃を受けていますから、金融機関の融資を受けられなかった時のために、お金を借りにいくリストを作りました。先輩経営者やお世話になった方々の名前を書いていくと、一億円以上は借りられるだろうとわかった。『なんかあったら連絡しなよ』と声をかけてくれる先輩もいる。困った時に助けてもらえる信頼関係を作れているんだと嬉しくなりました。」(中馬さん)

自分達が大切にしたいことを見つめ直す期間にもなった100日間。アフターコロナの世界では、MIYACOは何をしていくのだろう。

「オンライン化が進み、場所を問わずに仕事ができるようになる時代。どこでやるのか、どんな仕事をするのか、家族にとってはどうなのか、様々な物差しを持つことが大切だと思います。自分が何を楽しいと思い、何を美しいと思うのか。10代の若者が自分にとっての心地良さを見つけられるように、今後もエンタメ事業部ではインターンシップや研修を提供していきたいです。」(仲田さん)

「お金を生み出す事業は、他の企業でもできます。僕らに求められているのは、誰もができないおもしろい事業を生み出すこと。お金はいらないから手伝わせて欲しい、お金を払ってでもやりたいと言ってもらえるほどのサービスを生み出していかないといけません。共創には無限の可能性がある。コラボの輪にみなさんも入っていただけたら嬉しいです。」(中馬さん)

オンライン化が進む時代に求められることとは


周年パーティーの様子。多くの方の応援を受けて、ここまでやってくることができた。

誰にとっても身近なコロナの話題。MIYACOメンバーのみなさんの挑戦と学びに耳を傾けていると、あっという間に時間が過ぎ去っていった。最後に、質疑応答の一部をご紹介する。

ーー売り上げが下がっているのに、なぜ元気だったのでしょうか?

コロナを好機と捉えている企業の多くは、理念があり、目指す世界観がはっきりしていました。そんな素敵な会社と共創し、事業を作れることがとても楽しみで。動けない期間のうちに組織を強くして、力を発揮できるようにしようと思っていたので、ポジティブにいられました。

ーーオンライン化が進むと、何が変わっていきますか?

オンラインが中心になると、偶発性がなくなってしまいます。それは自分のアイデアだけで勝負しないといけなくなるということです。今まではKOINに来たら、知り合いにあって雑談をしてアイデアを得ることもできましたが、オンラインでは決まったメンバーとしか話しづらくなります。信頼関係は、直接会ったり一緒にご飯を食べたりする中で醸成されます。すでに信頼関係を構築できている人は継続していけますが、今から信頼を貯めないといけない人はしんどい時代。デジタル時代に、どう信頼をつくるかは考えていきたいです。

私たちの生活に様々な変化をもたらした新型コロナウイルス感染症。その中でMIYACOのメンバーが得たものは、今後も長くお付き合いしていきたいと思える、揺るぎない人と企業の信頼関係でした。困った時、どれだけの人が自分を、会社を助けてくれるだろう。私は誰を助けたいだろう。そんな視点で考えると、より一層自分や会社が大切にしたい物事が浮き彫りになりそうです。

 

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