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【寄稿記事】『◯◯さんをつくる出会い。』vol.03 吉村 由依子さん「亀屋良長 株式会社」

KOINは「時代をつくる出会いを。」をコンセプトに、事業を始めたい、広げたい、応援したいといった「○○をやってみたい。」と願う人の新しい一歩を応援しています。そこで、このシリーズでは「○○さんをつくった出会い」に焦点を当て、様々なジャンルで活躍するビジネスプレイヤーに質問し、彼らの出会いのストーリーを紹介していきます。

第2回目となる寄稿は、「亀屋良長株式会社」の吉村 由依子さんにご依頼しました。

➖まず、今の吉村さんの事業、取り組みを教えてください。

 小さな頃からお菓子作りが好きで、将来は食に関わる仕事がしたいと思っていました。大学では調理学を専攻し、卒業後はパリでフランス料理を学んでいました。帰国後、自宅で料理教室をしていましたが意外なご縁で亀屋良長(株)の長男と結婚しました。

 結婚した当初は、お店の仕事は手伝わないという約束で結婚したのですが、2年後くらいから手伝うようになりました。販売をしながら、1年間和菓子の学校に通わせてもらいました。和菓子の製法や技術、行事や菓銘を知ることでとても面白くなり、和菓子の世界にはまっていきました。ただ当時の店は、赤字続きで存続の危機にいました。お店のお客様もご年配の方が多く、若い方はほとんどいらっしゃいませんでした。

 20代の自分自身も、和菓子屋さんに行くことはほとんどなかったですし、手土産に選ぶのは洋菓子ばかりだったので、これは和菓子にとって危機的状況だと感じておりました。歳を重ねて自然と和菓子が好きになる方ももちろんいらっしゃいますが、小さい時に食べ慣れている味が美味しいと感じますし、行事ごとにあるお菓子を知っていなければ、大人になってからもそれを自分の子供に継承することもないと思います。

 そこで、まずは和菓子をもっと知ってもらうことが大切だと思い、企画開発を行いました。販売以外に、商品企画、試作、営業を行うことで、まずは私たちの和菓子を知ってもらうこと、目に留めてもらうこと。その先に、伝統的な和菓子の世界を知るきっかけになればと思いました。見た目に可愛く、トキメクようなお菓子、「自分でも買いたいと思うかどうか」を基準に、商品・パッケージデザインを少しずつ変えていきました。商品を考える際には小さい頃に経験したことや、感じたことが、とても役に立っています。また、フランスで一人暮らしをしていた経験も何かに活きている気がします。

 今は、商品企画、販売、人事、取引先との打ち合わせなど(たまに試作はしますが製造は主人に任せています)、製造以外の店の営業に関わることをしています。

 

 

➖現在の事業、取り組みにつながる出会い、はどのようなものですか?

 子供の頃から、学生生活まで様々な経験も活きていますが、一番の大きな出会いはヨガの相川圭子先生との出会いです。結婚後、会社の経営がうまくいっていないことがわかり、売上をあげることや経費の削減など試行錯誤しながら実行しましたが、なかなか思うように数字はあがらず、当時の社内の雰囲気も重たかったように思います。そんな渦中で、主人に脳腫瘍が見つかります。会社は暗いトンネルの中、まだ幼い2歳の子供を抱え、どうしようかと思い悩んでいた時に、病気療養中の主人が相川先生の本と出会い、ふたりでヨガをはじめたんです。それが私たちにとって大きな出会いになりました。

 

➖出会う前と出会ったあとで、どのような変化がありましたか?

 ヨガをはじめてから、仕事面で様々な変化が起こりだしたんです。最初の変化は、京都のテキスタイルブランド「SOU・SOU」さんとの出会い。今まで、新しいお菓子は作れても、パッケージデザインで行き詰まっていましたが、憧れていた「SOU・SOU」さんとのご縁でパッケージ全般を依頼することができるようになりました。

 さらに、パティシエの経験を積んだ藤田が和菓子職人を志望し、弊社に入社してくれたことで、別ブランド『Satomi Fujita by KAMEYA YOSHINAGA』を立ち上げることになりました。今まで、頑張っても同じところで足踏みをしているような感じでしたが、ヨガを始めてから、流れができ始め、自分が必死で頑張らなくても周りから必要なタイミングで必要な助けがきたり、必要なことが起こるようになりました。

 それは本当にすごいスピードで、流れについていくのがやっとな感じでした。一見悪いようなことが起きても、結果的にはいい方向に向かい、おかげさまで、思っていたモノやコトがどんどん形になり、会社の内部も少しずつ風通しがよくなり、整っていきました。

 自分自身の変化としては、先生から「全ては必要なことが起きています。すべてに感謝ですよ」と教えてもらい、最初は全然わかりませんでしたが、少しずつそう思うようにすることで、楽に生きられるようになりました。何か起こっても、まあこれも必要なことなんだな、と客観的に眺めることができたり、きっと何とかなる、と思える「守られている」という安心感が一番大きいです。

 

➖「〇〇をやってみたい。」と願う人の新しい一歩の背中を押すような、本があればぜひ教えてください。また、それが吉村さんにとってはどのようなものであったかも教えてください。

 おすすめの一冊は、私たち夫婦の人生に変化をもたらしてくれた相川圭子先生の『成功の源泉』です。相川先生の本の中でも、経営者向けに書かれた本で、スッと入ってくる言葉たちが多いです。映画は、宮崎駿監督の『風の谷のナウシカ』ですかね。見るとフラットな気持ちに戻れて、心が柔らかくなるんです。

 

➖このパンデミックはみんなに等しく訪れた出会いである、と捉えたとき、あたらしく見えはじめた可能性や機会があれば教えてください。

 難しい質問ですね。個人的には、ネットショッピングを含め、インターネット活用が格段に進んだと実感しています。弊社でも、ネットショップの売上が伸びたことで、なんとか現状を保てています。まだまだ手探りの状況ですが、今まで費用と時間がかかっていたことが、インターネットを使用することで効率的、かつより多くの方に情報が届くようになったので、可能性は広がりました。

 新しい機会としては、今まで以上に知恵を絞ることでしょうか。当たり前だと思っていたことや常識がこんな短期間で変わることもあるのだと言うことを目の当たりにしました。ただ、時代が変わっても「人の役に立つこと、相手が喜ぶことを考え、行動する」が基本であると思っています。まずは、一歩。やってみることが大切だと思います!

 

➖最後に。人生に素敵な出会いを招くために、大切にしたいことを教えてください。

 まだまだできていないことばかりですが、「愛」と「信頼」と「感謝」を大切に生きていきたいと思っています。何か選択に迷ったら、「どちらが愛のある選択か?」と考えるとおのずと答えは出てきます。それは一見損をするかもしれませんが、長い目で見ると素敵な出会いにつながっていくと信じています。

吉村 由依子さん、ありがとうございました。

※本記事の掲載写真は新型コロナウィルス感染症が拡大する前に撮影されたデータになります。

 

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