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アイデアを形にする「起業の仕方」・「プロジェクトの立ち上げ方」を学ぶ90分 開催レポート

WRITER : 工藤 崇

35歳以下の若年層を対象に起業を希望する方の機運の醸成や、ネットワークの形成を目的としたKOINの「U35起業家育成プログラム」。第1回は、これからアイデアを形にしていく人のチャレンジを後押しするため、標題のイベントが開催された。

ゲストは株式会社MIYACOの代表取締役、中馬一登さん。

今回のイベントのポイントは何か?と言われれば、「圧倒的な数のチャレンジと失敗を続けてきた株式会社MIYACOのストーリー」これに尽きる。

「圧倒的な数」というのも、株式会社MIYACOがチャレンジした事業・プロジェクトの数は、実に70に達するのだ。

これからアイデアを形にしていく人にとって、株式会社MIYACOのチャレンジの数々は、様々な観点から参考になるものであった。

頭おかしいくらいやってるんですよ

株式会社MIYACOは創業8年目。コアメンバーは10名ほど。その中でこれまでに70の事業・プロジェクトを立ち上げたというのはまさに圧倒的だ。

「頭おかしいくらいやっているんですよ。」中馬さんは言うが、うなずける。

ではなぜ、こんなにも多くのプロジェクトを?

「選択と集中だ、核となる事業を創るのがセオリーだと先輩経営者は言うけれど、世の中はこれからどうなるかわからない。あえて1つに絞らずに、いくつか事業をしておいた方がいいと思っていました。アホみたいな話だけれど、日本を代表する経営者になりたい。世界をよくできるような事業を創りたい。それを本気で考えていました。でも、どんな事業をしたらいいんだろう?わからない。ただ、1つだけわかっていることは自分は経営者であること。自分がイメージする世界を創ることができるのか、その練習をひたすらしていきたかった。だから、とにかくやってみたんです。」

「これは世の中を変えられるかもしれないぞ。これは面白い。」と思ったら、とりあえずチャレンジした。ひたすら繰り返してきた結果がこの事業数ということだそうだ。

失敗には共通点がある

「これだけアホみたいに事業やプロジェクトをつくってきた僕だからこそ言えることをお伝えしたいなと。正解は言えないけれど、失敗の共通点はあるんですよ。」

まずはじめに話に上がったことは、現在残っている事業と撤退した事業の違いについてだ。

「今も続いている事業については、パッションを持った人間がリーダーということが共通点ですね。新しい事業は100%壁にぶつかります。それを乗り越えるために必要なのは、どんなことがあってもやり遂げたいという情熱です。軽い気持ちで成功する確率は1割未満だと思います。」

コロナ前には、会社の経営者や事業のアイデアになりそうな人と毎晩、飲みに行っていたという中馬さん。その中で生まれた種を事業にしていった結果から出てきた言葉だった。

才能主義

「もう1つ大切なことは、関わる人の才能を生かした方がいいということです。うちの会社では”才能主義”と呼んでいるんですが、この人はこういう性格で、こういう才能があるからということをちゃんと見極めて役割を振る。これはすごく大切ですね。」

株式会社MIYACOでは才能を活かすために、コアメンバーにアセスメントテストを定期的に行い、誰がどの事業や役割にフィットするのかを見極めている。また、事業の立ち上げは1人で行わず、3人制のチームにして、より才能と才能を補い合えるような形を試みているということも話に上がった。

“才能主義”が生まれた背景には、自分らしさを大事にする社風が影響していた。

「”わがままであれ”創業当時からこの言葉はずっと言っているんですよ。私自身、良いところと悪いところ、できることとできないことが激しい人間だからこそ、そういう人間が生きていけるような社会にしたいし、会社にもしたいと思っています。だからこそ、良さを活かし、できないことや苦手なことをどう補うかを考えますね。」

わがままとは、自分らしさを活かし、足りないを足りるにするということ。自分が活きることで自然とパッションを出せる環境になっているから、MIYACOは新たなチャレンジに挑み続けられているのかもしれない。

知っている、できる⇄やるには深い溝がある。

ここからは参加者からの質問コーナー。

「よく、パッションを持ってやれ!と言われるけれど、そもそも、そのパッションが何なのかわからない。」という質問があった。

「はじめから自分のパッションが何かをわかっている人は少ないと思います。今の人を見ていて思うのは “知ってます”、“できます”という人は多いということですね。今の時代、簡単に情報を得られるからできる気になっている。でも、知っている、できると、やるには深い溝があると僕は思っています。やってみて、はじめて気づくことがあり、体感したからこそ動く自分の気持ちがあります。チャレンジを通じて自分のパッションに気づくことができるんじゃないかと思うんですよ。

この「やってみる」に移せる人でしか未来は切り開けないと思います。」

頭の中だけでなく、行動を通じて見えてくる景色があると説く中馬さん。

「これをやっていくうちに、自分が好きだな。嫌いだな。苦手だな。得意だな。そういうものが出てきます。だから、実際にやってみたからこそわかることこそが大事」と言った中馬さんの言葉が印象に残った。

アイデアを形にするための最後のメッセージは、「点を打ってください」

「僕らの70事業って結局、点なんです。点を打った数では負けない自信がある。今も大学時代に挑戦したプロジェクトで出会った友達が、その後社会人になって、一緒にお仕事をさせてもらえるようになった経緯がある。東京ヴェルディさんとのコーポレートコンサルティングのきっかけはまさにそうですね。一生懸命に活動する姿を見て、この仕事はMIYACOの中馬ならできるんじゃないかと。こんなことがうちの会社にたくさんあって、起こしたアクションの点がつながっていくんです。これから5年後、10年後どのように点と点が線になっていくかとても楽しみです。」

「知っている、できるは点じゃない。やってみた瞬間に1つの点になる。その1つはうまくいかなかったり、意味がないとその時には思うかもしれません。けれど、必ず点になっていて、それがその後につながってきます。皆さん、点を打ちましょう!」

このようなメッセージで、最後は締め括られた。

もしかしたら、70個の事業を掲げるなんてそれぞれが中途半端なんじゃないか。そう思われた方も入れるかもしれない。

しかし、自分らしさとは何か、その人らしさは何か、「才能主義」で会社を追求していった結果、70という数のチャレンジが生まれ、そのチャレンジが点となり、点と点が線となり、つながり始めている。

「日本を代表する経営者になりたい。世界がより良くなるような事業を創りたい。」

線と線が交わり、面となり、株式会社MIYACOが世の中を席巻するのも、そう遠くない未来なのかもしれない。中馬さんの話を聞いた人が、どのような点を打っていくのか、楽しみだ。

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