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〜11/17開催 第3回KOIN塾 レポート〜

WRITER : 井上 良⼦

 新たな参加者も数名加わって、賑やかな雰囲気の中で対⾯開催された第3回KOIN塾。「在り⽅が問われる時代の到来」というテーマで、講師の福冨さん(my turn理事)による講義から始まりました。

 まず、タイトルにもある「在り⽅」は、“Purpose(パーパス)”という⾔葉で最近よく⽿にするようになりましたが、私たち個⼈にとっては「何のために存在するのか」「何のためにその事業を⾏うのか?」、ビジネスにとっては「何のためにこの会社があるのか」という、個⼈の⽣き⽅や組織としての存在意義を問う⾔葉です。なぜ最近になってパーパスが注⽬されるようになったのか、その背景を福冨さんは次のように整理されています。


①製品やサービスの同質化(コモディティ化)が急速に進み、機能や品質のみで他社製品やサービスを凌駕するだけの差別化が困難な時代になったこと
②デジタル技術の進歩によりDXが加速したことで、⼈の⼿(作業)が要らなくなった作業を含め、さまざまな職業が進化してきていること
③環境や社会、地球環境に配慮した考え⽅や⾏動が普及し始めていること
④価値観の転換期:コロナ禍によって⽇常の暮らしが⼀変し、⽣活や⽣き⽅の⾒つめ直しが起こっていること

 

 

 リモートワークの普及や議論を巻き起こした45歳定年制など、社会における働き⽅と関連する制度も⼤きく変わっていく中、早期希望退職の動きも加速化し、ある⼤企業では会社側が期待していた⼈材までもが早期退職してしまうという事態も起きているそう。その企業の経営陣が「会社が⽬指す姿を明確に発信していれば、期待していた⼈まで退職することにはならなかった」とコメントを出しているように、「在り⽅」の発信は、今や企業の経営や
事業体制にも関わる重要な社内コミュニケーションの側⾯もあると分かります。

参加者からも、

・前回のお話にあった「境⽬をつくらない関係性」と、コミュニケーションがセットで⼤事になってくると思う。個⼈のパーパスに加えて、チームワークとしてお互いに尊重し合うことが会社全体として⽬指す⽅向性になっていくのではないか。
・同じ企業の中でも世代間の価値観の違いを実感する出来事が最近あった。若い世代が主流になるまでの⾟抱だと伝えたいと思った。
・難しい⾔葉や概念も、⾃分たちがどう在りたいかという意識をもって知識を⽣かしていくことが⼤事だと感じた。

といった感想が共有されました。

 新しい働き⽅として次に福冨さんが例に取り上げたのは、「ネオフリーランス」という新時代のフリーランスについて。①営業(売り込み)よりも⼈のつながりで仕事を取る ②副業をもっている(⾃分のスキルセットを複数の相⼿に向けて展開している) ③⼀匹狼ではなく、コミュニティに所属している等の特徴をもっている のだと⾔います。

 すると今回会場に参加していた⼤学⽣が、学⽣をしながら3つぐらい仕事をしている(!)ことがわかり、聞けばまさに「“⼈とのつながり”からお仕事をいただいている」とのこと。実体験として「⾃分が楽しんでやっていく先に信頼がつながっていく」形で仕事になるというお話を受け、⾃分の在り⽅(パーパス)を軸に共感・信頼し合える仲間と“楽しみながら”新しい価値を⽣み出していくことが、これからの共創社会では鍵となる予感がしました。

 その後、対話は「感情を出す・伝えること」へと話題が移り、経済成⻑のために効率や成果ばかりが重視され、働く場で個⼈の感情を出すこと⾃体が認められなかった時代を経て、これからは会社の意向よりも⾃分がどう感じるのか、“本当の気持ち”を軸にもつこと、異なる世代間のコミュニケーションにおいても感情を伝え合うことの⼤切さなど、⾃分の望む⽣き⽅と在り⽅に根ざした感情のアウトプットが重要になってくることが参加者間で共有されていました。

 幅広い年代の多様な参加者が対話を深めた今回の講座の最後に、福冨さんから伝えられたのは、「どういう場に⾶び込むのかも含めて未来は選択できる」ということ。どこに⾝を置き誰とつながるかで共創の在り⽅も変わってくる時代。KOIN塾のように、多様な価値観に触れながら多世代の⼈とコミュニケーションができる場を通して“⾃分らしさ”も再定義され、先が⾒えない社会だからこそ、お互いのパーパスでつながりあった仲間とともに可能性を掛け合わせていくところに、新しい共創の在り⽅を⾒出せた時間でした。

 次回は1ヶ⽉後に、今回の学びをさらに深めるダイアログが予定されています。引き続き、次回もまたお楽しみに!

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