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自分らしく仕事を進める 若き実践者に聞く! - 起業・フリーランス・復業の 「はじめ方」と「進め方」-  イベントレポート 

WRITER : 平岡 慎也

誰もが起業をしやすくなり、生きるための仕事から人生を豊かにするための仕事へ、自分らしい働き方を考える機会が少しずつ増えている。起業に興味はあるがすぐに始めるにはハードルを感じる、そんな大学生を中心とした人達を対象に、20代前半という若さで「起業・フリーランス・複業」に挑戦されているお二人のゲストに招いて講演を行った。

 

まずは、炭窯さんの起業までの過程を聞かせていただいた。

*炭窯さんは、ご都合により動画でご出演。

1.どんな事業をしていますか?

飲食業と、シェアハウスの経営をしています。飲食の方は「秘密基地こむこむ酒場」というお店で、銭湯をリノベーションした九条駅近くの建物で運営をしています。シェアハウスは「まいにちかぞく」という名前です。コンセプトは「擬似家族」で、血のつながりはなくても家族のように心温まる空間を作りたいという思いで運営をしています。

2.事業を決めたきっかけは?

「人との出会い」ですね。シェアハウスも飲食業も、すでに事業をなさっているロールモデル達との出会いで興味を持ちました。

京都で飲食業をされている方と学生時代にたまたま出会い、お仕事の話を聞いている中で「なんて面白い人なんだ」と感じました。そして「もし自分が飲食をやってみたらどんなことができるんだろう…」とワクワクしました。

シェアハウスについては、兵庫県の田舎で大きなシェアハウスをされている人がいて遊びに行かせていただきました。シェアハウスの中には、学生だけではなくお子さんと一緒に暮らしている人もいました。年代も職種もバラバラな方が、楽しそうに暮らしている姿を見て、自分もシェアハウスを運営してみたいと思いました。

3.周りと違う道に進むことは怖くなかったのですか?

兄がお笑い芸人をやっていて、親や友達からも反対されていたのですが「自分は絶対にお笑い芸人になるんだ!」と、今も東京でチャレンジを続けています。その兄の姿は輝いて見えますし、自分自身も周りの目を気にせずに自分の道を進もうと強く思えました。

 

続いて、山本さんに起業までの過程を聞かせていただいた。 

1.どんな事業をしていますか?

【語り×Café&Bar】をコンセプトとしたバーの経営をしながら、若者のキャリア支援や起業家教育などを行なっております。他にも、お寺でビジネスコンテストを行う「テラッカソン」というイベントなども手がけています。

2.起業したきっかけは?

起業した理由と、バーを始めた理由は別なんです。元々、「価値を作って、誰かに提供すること」には興味がありましたが、大学に入るまで起業に興味はありませんでした。しかし入学後に経済や経営を学ぶ中で、「自分が生活するお金を自分で賄えるようになりたい」という気持ちが湧いてきました。偶然知り合いに起業家がいて話を聞いているうちに、起業家であれば「誰かに価値を届けること」と「自分のお金を賄うこと」という自分のやりたいことが同時に両方できるのではないかと思ったのが起業のきっかけでした。

「世界を変えたい!」というより、「まずはしっかり生活ができるように」という思いが強くありました。

続いて、司会の仲田さんから山本さんに様々な質問がなされた。

 

まずはスモールステップからチャレンジしてみる

仲田さん:

お二人とも起業の背景が、「起業したいから」というより「やりたいことをやってる」という点で似てますね。

山本さん:

確かにそうですね。そもそも起業って「スモールビジネス」と「スケールビジネス」の2種類があります。
スモールビジネスは、自分の身の回りの人に対して自分が提供したい価値を届ける。その中で自分が生きるためのお金もしっかり稼ぐビジネス。スケールビジネスは、大きな金融機関やベンチャーキャピタルからお金を集め、スピーディーに大きな事業を作るビジネス。

僕たちはスモールビジネスをやっているという点で、共通していますね。

仲田さん:

なぜバーを始めようと思ったのですか?

山本さん:

バーに興味を持ったのは、大学での原体験が大きかったです。京都大学に入ればなんとなく「すごい人にも会えて、自分もすごい人になれる」と、そんな期待をしていたのですが実際には思っていたものと少し違い、一年生の時はモヤモヤを感じていました。大学の近くに図書館や就活カフェがあり、勉強をしたり仲間内で話すのには向いていました。でも新しい繋がりができたり本音で話せるような機会は少なかったんです。 
しかし、友達の家でお酒飲みながら「やりたいこと」や「自分が興味あること」を話していた時。それがすごくいい場だったんです。固い話ばかりではなく、恋愛の話なども含めて話していると、すごく自然と本音で話せるような時間になったんです。このような原体験から、お酒を飲みながら深く語り合えるような場を作りたいと思ってバーを始めました。

仲田さん:

「Katharsis」という名前にはどのような想いが込められているんですか?

山本さん:

カタルシスの意味は「浄化」です。やわらかく言うと、「心のモヤモヤをスッキリさせる」ということ。「語る」で「カタルシス」ができたら!そんな思いで名付けました。

 

 

どんな準備が整ったら起業しても大丈夫?

仲田さん:

起業に必要な力ってなんでしょうか?

▼ちなみに、会場の皆さんにも同じ質問を投げかけたところ、このような意見が集まりました。 

山本さんは「起業に必要な力」をどうお考えですか?

山本さん:

起業する前と、起業した後で少し異なりますね。起業した後は、まさにこの”やり続ける力”が重要です。

一方、起業する前は「少しずつ自分を追い込む力」が大切だと思います。

例えばバーを始めたいのであれば、まずはバーでアルバイトする。次に、クラウドファンディングで100万円集めてみる。このようにいきなり起業する前に、少しずつ自分を追い込むということも大切ですね。

仲田さん:

起業をするには、起業を後押ししてくれるメンターも大切だと思うのですが、メンターを探す時に大切にしていることはありますか?

山本さん:

「自分より一歩先を進んでいる人」に「その人のさらに一歩先を進んでいる人を紹介してもらう」ことを大切にしています。

起業界隈って変な人も多いので、自分で探すと危ないこともあります(笑)。やはり紹介だと、安心して新しい繋がりを増やすこともできますし、紹介の方が相手も親身に話を聞いてくれることが多いですね。

あと、実際の起業家から話を聞くことも大切ですね。起業するときって、もちろん理屈や知識も重要なんですけど、”勇気”のように文字化できない感情面のハードルが意外と大きいんです。知識であれば、詳しい人であれば誰でもいいのですが、感情面のサポートは起業家のメンターの方が向いてますね。

そして最後に、学生達に向けて「親に起業を反対された時に、どうすればいいか」を語っていただいた。

誰のための起業・就職なのか?

山本さん:

自分自身も親から応援してもらうために大変なこともありましたが、効果的だったことを二つ紹介します。

一つは、起業しないことのリスクもしっかりと伝えることですね。今の時代、会社が倒産しないとも限らないわけですし、企業に就職することが安定とは限りません。自分で価値を作れて、自分で事業を行える方が安定という見方もできます。

もう一つは、クラウドファンディングです。クラウドファンディングはプロジェクトページに自分の強い想いを書くので、自分のやりたいことやその背景をしっかり伝えることができます。

今回は、起業に興味がある学生達が気になる様々な点について、現役の若手起業家に熱く語っていただいた。ゲストの二人が過去に参加したKOIN主催の”アクセラレータープログラム”への参加の希望した学生もおり、大盛況の一日となった。

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