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U35起業家養成プログラム SNSフォロワー1万人越えのタップダンス金メダリストから学ぶ 「応援されるプロジェクトの作り方」 – イベントレポート

WRITER : 平岡 慎也

 新型コロナウイルスの影響で、様々な業界で苦しい状況が続いています。特にエンタメは打撃が大きい業界の一つであり、生き残りのためには既存・新規ともに「ファン」の存在が欠かせません。このような苦しい状況でどのようにファンを増やしていけばいいのでしょうか?
 そこで本日は、この状況下でもファンを増やし続けているタップダンサー金メダリスト、中西浄華さんをゲストに招きました。中西さんはコロナ禍の難しい状況でもダンスライブのチケットは完売。2019年に1000人近くだったTwitterのフォロワーは、上昇を続け現在では1万2000人を超えるほどに。そんなたくさんのファンを抱える世界一のタップダンサー、中西さんから「応援されるプロジェクトの作り方」について話していただきました。


登壇者

【中西 浄華】
姉妹tap duo華~puspa~

平成2年9月18日生まれ
4歳よりダンスを始める。
平成25年同志社大学英文学科卒業。
タップダンス世界大会1位(DWC)、コンテンポラリーダンス国際大会1位(IBCDC)の経歴をつ国内唯一のダンサー。
世界経済フォーラム(ダボス会議)選出 Global Shapers Community Kyoto Hub。

Twitterアカウント:https://twitter.com/puspa_tap
puspaホームページ:http://puspa-tap.com

●踊るだけが仕事ではない

 「ダンス」という仕事を聞くと、つい華やかな舞台上での姿のみをイメージしてしまいますが、当然ながら踊っていない時にもたくさん大切な仕事があります。舞台裏での抜かりない仕事が、たくさんのファンにつながっているのかもしれません。
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中西氏:
 まずダンサーとしての仕事は大きく分けると、「踊る」と「教える」の2つの領域があります。他にもモデルをしたりテレビに出演したり。ADAM ET ROPEさんのカタログ用のモデルをさせていただいたり、めざましテレビさんに出演させていただいたこともありました。ダンサーとして舞台上で踊る他にも、たくさんの仕事があります。
 特に、プロとしてダンスをする上では緻密な準備は欠かせません。照明プランや要望書を作成したり、音源編集や衣装決めなど事務作業もたくさんあります。
 さまざまなダンスの中でも、特にタップダンスは細かな確認が欠かせません。タップ業界の中では当たり前とされていることでも、まだまだ一般には認知が広がっていないこともたくさんあります。例えばステージの材質や、タップボードの持ち込みの可否などの確認を怠ると本来のパフォーマンスが発揮できないことがあります。どんな状況でも、最高のパフォーマンスを発揮できるように、関係者たちへの確認や打ち合わせは、待ちの姿勢にならずに自分から積極的に行っています。
 また、パフォーマンス事業の他に Spot Lights という事業を立ち上げました。「アートを通じて全ての人が輝ける社会を」という想いで、福祉施設や特別支援学校などでダンスのワークショップを行っています。
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●応援の関所、第一関門は「写真」

 世界大会で優勝するほどの技術に加えて、緻密な準備による中西さんの最高のダンス。しかしそもそも認知をしてもらえなければ、ファンは増えません。中西さんはどのように新しいファンを増やしているのでしょうか?特にTwitterの使い方で大切にされていることをお聞きしました。

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中西氏:
 まずは当然ですが、多くの母数にアプローチすることが大切だと思っています。タップダンスに興味を持っているという人は多いというわけではないので、こちらから積極的にアカウントをフォローしにいくことは大切にしています。そして重要なのはその後です。
 私は、応援してもらうにはいくつかの「関所」があると考えています。まず第一関門を突破しなければ、フォローをしてもらえることはありません。その第一関門は、「写真」にあると考えています。どれだけ他の要素で頑張ったとしても、写真に魅力がなければフォローはしてもらえない。年に1回はしっかりとスタジオを押さえて写真撮影を行い、SNSやフライヤーで使用します。

 

 そして、最後には継続が大切です。私はいわゆる「バズる」ようなコンテンツでフォロワーを増やしたというよりかは、少しずつ地道に投稿を続けて今に至りました。

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「大切な基本を誰よりも丁寧に実行し続ける」という姿勢こそ、中西さんがファンを増やし続けている秘訣なのかもしれません。

イベントの後半では、司会者及び視聴者からの様々な質問にお答えいただきました。

●プロジェクトをする時に最も大切なことは?

 ご自身もエンターテイメント業界で活動されているという参加者の方から「複数の人達と一緒にプロジェクトを進めていく上で大切にしていることは何ですか?」という質問をいただきました。

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中西氏:
 「自分たちの世界観を大切にすること」はとても重視しています。例えば、舞台の照明の明るさひとつにしても、私たちの考える世界観を共有できていないと、全く違う世界になるんです。関わる人達とこの世界観を共有するために必要な準備は丁寧に行います。

世界観を守るためにも、できる限りの仕事は事務作業なども含めて、私たち自身(姉妹二人)で行います。人が増えれば増えるほど、伝言ゲームのようにずれが生じてくるので。

一方で、全てを自分達で行うとキャパオーバーになってしまいます。世界観を守るために「私たち自身がやるべきこと」と「任せること」を見極めて、任せる時には相手をよく考えてお願いしています。
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●今後の展望について教えてください!

 最後の質問ではコロナ禍でもチャレンジを続ける中西さんに、今後の展望を聞かせていただきました。
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中西氏:
 実は、3月から関東に移住します!姉妹タップデュオのぷしゅぱを解散するわけではありません。
東京にしかない案件にも積極的にチャレンジしていきたいという想いで、東西2拠点でがんばります。
 またコロナで様々な公演が中止となり、改めてダンサーとして自分の使命と向き合った時、どんな人も身体表現やアートを楽しめる社会を目指したいと強く思いました。そんな想いで初めたSpot Lightsは関東でも展開していきたいです。

Spot Lights ホームページ:https://spotlights-art.com/
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 コロナ渦でも、目の前の仕事と丁寧に向き合いながら、新しいチャレンジもどんどん進めていく。そんな姿勢こそがファンを増やし続けていくのだと、思わず感じずにはいられませんでした。

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