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【U35起業家育成プログラム】10代、20代、30代が語る、これからのリアルな起業! 【起業・経営の本質】に迫る90分

WRITER : 西尾 創平

これから起業を目指す10代の若者と、20代、30代の起業家・経営者の3名をゲストに招き、『起業や経営を始めるために大切なこと』をお話しいただきました。

 

====ゲスト紹介====

登壇ゲスト#1/30
株式会社MIYACO 代表取締役
中馬 一登 氏
1987年生まれ、京都出身。2014年に兄弟3人で株式会社MIYACOを設立。人材・教育事業や観光事業、地方創生事業を手掛け、京都市や舞鶴市と連携し、若手の活躍を推進するプロジェクトなどを多数企画・開催している。京都で活躍する若者のコミュニティU35-KYOTOのプロジェクトマネージャーやダボス会議などで知られている世界経済フォーラムによって任命された33歳以下の若者によるコミュニティ「GLOBAL SHAPERS COMMUNITY, KYOTO HUB」の代表などを歴任。

 

登壇ゲスト#2/20
株式会社革靴をはいた猫 代表取締役
魚見 航大 氏
2017年龍谷大学政策学部卒業。大学内にある障がい者と学生が働くカフェ「樹林」との出会いをきっかけにあらゆる若者が「職人」として活躍できる仕事をつくることを決意。靴磨き専門店で修行を経て、在学中に「訪問靴磨きサービス」で起業。現在、大丸京都店(5)と京都市役所西側に実店舗を構えて、靴磨き、靴修理、靴販売を実施している。

 

登壇ゲスト#3/10
HERA HERA代表
齊藤 心南 氏
自分らしく生きたいと、14歳で起業を志す。「10代が音楽を通じて自己表現できる場」、「好きなことで人を笑顔にできる場」を創ると決意。2018年に、10代による10代のための表現イベント「This is me」を開催。現在は10代のアーティスト支援やライブイベントの開催を行う「HERA HERA」を立ち上げ運営中!

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人との出会いが起業のきっかけに

―はじめに齊藤さんから、起業を意識したきっかけをお聞きしたいと思います。

齊藤:中学生の時に、周りの大人たちの「これが正しい」という一方的な価値観に対して生きづらさを感じていました。そんな時、中馬さんがゲストとして登壇された学校の講演会に参加し、『我がままであれ*』、自分らしく生きていいんだよというメッセージを感じたんです。
まだ中学生で大人の枠組みの中で生きていた自分にとって、「こんなに自由に生きていいんだ」と衝撃を受けました。その時が起業を意識したきっかけですね。

*(株)MIYACOのフィロソフィーにある中心的な考え

また、私は音楽が好きだったので、HERA HERAという団体を立ち上げ、10代による10代のための自由な音楽表現の場づくりをはじめました。今は、10代のアーティストのためのライブイベントを企画・運営しています!

 

―中馬さんとの出会いが、自由に生きること、起業して夢を叶えようと思えるきっかけになったんですね。その気づきから行動に移す姿がかっこいいです! 
続いて、魚見さんにも起業のきっかけをお聞きしたいと思います。

魚見:高校時代、勉強ができる賢い友人がいたんですが、その人は経済的な事情で国立大に一発合格しないと大学に通うことができない状況でした。同い年なのに、環境によってこんなにも左右されるのかという気付きと驚きもあって、「自分も何か頑張らないと」という気持ちから、大学に入学してから、何かしたいと色々探していました。
その結果、地域と連携しながら地域課題を解決する取り組みに参加して、その活動の中で大学内にあった「カフェ樹林」を訪ねたことが、起業のきっかけになりました。

 

―「カフェ樹林」はノーマライゼーションの理念を実践する、障がい者の方を含む多様な人々がお互いを補い、活かし合いながら運営をしているカフェですね。

魚見:はい。カフェ樹林の運営者さんから、ある時お店の手伝いをお願いをされて、自然と一緒に活動するようになったんです。
活動を重ねるごとに、理念や取り組みに対する想いに心を打たれ、 気づけばその運営者さんの願いを叶えることが自分の原動力になるほどでした。
そんな中、同じカフェのメンバーが、大学卒業後にどこで働くのか話題になったんです。そのメンバーがもつ障がいに関係なく、社会の役に立てる仕事は何かと模索する中で「靴磨き」が浮かび、運営者さんからも「靴磨き」の修行に行くよう後押しいただいたこともあって、起業を決意しました。

 

―カフェの運営者さんやメンバーとの出会いから、起業のきっかけが生まれたんですね。出会う人の気持ちに応えたいというエネルギーも感じました。
最後に、中馬さんはどんなきっかけで起業されましたか?

中馬:僕はもともとサッカー選手を目指していたのですが、年を重ねるにつれて周りの選手と実力の差を感じるようになり、夢を実現するのは難しいのではないかと考えるようになりました。ただ、そのような中でも、家に友達を呼んで自分の服を売る「中馬ファッションショー」みたいな、エンタメ要素も含んだ小さなビジネスを、遊びの中でやっていました。(笑)

 

―この時から、会社のフィロソフィーでもある「ソーシャルテイメント(ソーシャルビジネス×エンターテイメント)」を実践していたんですね!

中馬:そうですね!
あと、起業のきっかけは色々ありますが、大学生の時に世界を見て周ろうと旅に出て、その旅の最後に出会った日本人から1冊の本をもらいました。その本を読んで『人生は一度きり。どうせなら起業したい』という気持ちが生まれたんです。
それから、自分がそうだったように、『人の人生を変えるような本を出版したい!』と自分の想いが言葉になっていきました。

 

―旅での偶然の出会いが1冊の本の出会いに繋がり、その本が人生を変えた。自分もそうしたきっかけをつくりたいと思われたんですね。

中馬:はい。それから帰国して、大学を卒業するタイミングで東北大震災が起きました。東北にも知り合いが多くいたので復興に協力したいと現地に向かい、復興支援をする団体に所属しました。そこで、復興活動のための資金を集める役割を団体の代表と一緒に担うことになりました。
その代表が経営者でもあったので、その人の傍で経営や商談の仕方、ビジネスのリアルを学び、覚えていきました。

 

―今の中馬さんがあるのは、そうした修行期間を経てなんですね。3名とも、人との出会いがターニングポイントになったことが共通点かと思います。自分のやりたいことは何かと問い続け、それが仕事になると気づいた時が起業の時なのかもしれませんね。

 

 

やるリスクとやらないリスク

後半は会場からの質問に3名のゲストから回答いただきました


Q.起業にはお金のリスクがあると思いますが、怖くありませんでしたか?

魚見:起業にはもちろんお金が必要です。ただ、思い返してみると、たとえお金が集まらなくても起業すると決めていたことを思い出しました。
やると決めたから「できる」。リスクはやらない理由にならないですね。

 

―別の角度から、中馬さんはいかがでしょうか?

中馬:失敗する怖さの質問ですよね。僕は失敗もネタになると思っています。経営者同士が集まるときに失敗自慢がはじまったりしますが、そのくらい失敗話は面白いし、失敗から学ぶことの方が多いです。失敗をしているからこそ成功に近づきますね。
また、リスクを考えるときは、その質と重さを捉えて判断しています。危険度が高い「やばいリスク」や、危ないかもしれないけれどワクワクする「おもしろいリスク」。色んなリスクがあるので、そのリスクの本質を捉えることが大事ですね。

齊藤:私は、借金があること(リスク)による不安よりも、挑戦をしない不安の方が大きいです。挑戦していない、変わっていないという方がリスクだと思います。

 

―リスク自体が危ないものではなく、そのリスクとどう向き合うかが起業家にとって大事なんですね!

 

Q.起業に向いている人ってどんな人だと思いますか?

中馬:「忘れる力」を持っていることだと思います。「辛いことや大変なことを引きづらない」、「影響を受けすぎない」、「寝たら忘れられる」が大事ですね。
あとは自己肯定感の高さです。小さな成功を積み重ねて、「できる」という自信をつけていく。そして最後までやり切ることですね。

魚見:先程の話と繋がるのですが、たとえ起業家に向いていなくても、やると決めた人はやってのけると思うんです。なので、どんなことがあっても「やり遂げる」と決意できるかだと思います。

 

「戦略的に、よしやってみよう!」

―最後に登壇者の皆さんから会場の皆さんにメッセージをお願いします

齊藤:「でも」という言葉を使うのをやめて、「よしやろう」に変えていこうと思っています。「HERA HERA」の活動の中で、私自身も皆さんも成長できるような場所をつくっていこうと思います!

魚見:ある経営者の方から頂いた言葉です。「売上思考ではなく、仕入れ思考に」。
目先の売上だけではなく、仲間や応援してくれる方々、ご縁や運といった、経営をする上でプラスになるものを、どれだけ仕入れることができるかという意味です。みなさんも、周りにしっかり目を向け、信頼できる仲間と挑戦してほしいと思っています。

中馬:早く経営者になって経験を積むことが経営を成功させる1番の近道なので、昔の自分だったら「決めたらすぐ起業だ!」と言っていると思います。でも今はその考え方も変わってきています。AIの発達をはじめ、世の中の動きがとても早くなり、将来の予測が困難になってきているので、最低限の収入を得ながら起業を進めていくような「戦略的起業」も、今の時代の選択肢としてありだと思います。
時代の流れを見ながらベストの起業を考えてみてください!

 

―自分を変えるような「人」との出会いから、起業の道を歩んだ中馬さんと魚見さん。熱い起業家に影響を受け、これから起業する齊藤さん。そんな3名のお話しから、次の起業家が現れるように感じた時間でした。起業に向けた大事なシェアを3名の皆さん、ありがとうございました!

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