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我がままであれ。 新しい時代をつくる鍵は「自分価値」にある。

WRITER : 小坂綾子
PHOTO : 桜井肖典

終身雇用が当たり前でなくなり、戦後から続いた雇用形態や社会システムが変わりつつある。新しい時代にあった働き方とはどのようなものなのだろうか?

新しい一歩を踏み出す人のための共創の場として京都経済センターに誕生した「KOIN」で6月9日、35歳以下を対象とした第1回イベント「令和PEOPLEのワーク&ライフ」が開催された。人材・教育事業に取り組む株式会社「美京都(みやこ)」の代表・中馬一登さんが講師を務め、大学生や会社員、フリーランスの人など約50人が、ワークを交えて新時代の働き方や生き方を考えた。

世界をまとめるリーダーに

イベントは、椅子の数が足りなくなる熱気の中でスタート。
「ポップな感じで行きましょう!」
 壇上に立った中馬さんと同社企画部部長の徳田直也さんが会場に呼びかけると、参加者の表情には笑みが広がった。

まずは、グループごとに分かれて「参加したきっかけ」「今の気持ち」「何を得たいか」をテーマにアイスブレイク。会場が和やかな雰囲気に包まれたところで、中馬さんが美京都のストーリーや哲学、ビジョンを語る。

「日本って、先進国じゃないですか。世界的に見ても素晴らしい国だと言われることも少なくないでしょう。けれど、トップリーダーが集まる場所では、日本人はリーダーにはなれないんですよ」

中馬さんがそれを実感したのは、29歳の時だった。大学卒業後、就職せずに震災後の気仙沼へ行った中馬さんは、ボランティア仲間との東京での起業を経験し、京都に戻って兄弟とともに株式会社「美京都」を設立。最初の事業は、オリジナルソース「美京都ソース」の商品開発と製造販売だった。2013年に京都でソースの会社を創業した中馬さんは、世界ダボス会議で33歳以下のコミュニティに参加し、世界の若者たちと出会う。

「僕の下の世代で、この場所の全員をまとめられるリーダーは生まれてくるか?って考えたけれど、今の日本人気質だと無理だなと。だから、帰って教育事業をしようと思いました」

就労支援や海外プログラム、大学キャリア支援など教育・人材事業へと舵を切るきっかけとなった大きな出来事だった。

得意なことで生きて行け

「美京都の経営理念は『我がままであれ』なんです。これって、かっこよくないですか?」中馬さんの語りかけが、参加者の心をひきつける。

「カタカナのワガママは、日本では自己中心的に見られるんですけど、『我がまま』はいかに自分らしく生きるかということ。会社の一番大事な部分です」

自分という人間の価値で勝負する「バリュー人材」、サッカーのようにゴールを取ること(結果)をまず考える「ゴールファースト」など、美京都のその他の理念も解説し、個人と組織がwin-winになる考え方を紹介。また、自分の給与を決めるために自己価値をプレゼンする社員のケースにも触れた。

続いて、この日のテーマ「働き方」の歴史をひもといていく。農業や漁業が中心で、ユニークな仕事も生み出された江戸時代から、明治以降の時給導入やマニュアル化を経ての平成のグローバル化、非正規雇用の増加…。クイズも交えたわかりやすい講義に参加者は興味津々。アメリカでフリーランスが増え、日本にも波が来ること、プロジェクトに人が集まり終われば解散するスタイルの仕事が増えるという見立てに、参加者は熱心に耳を傾けた。

「プロジェクト単位だと、自分が得意なことだけすればいい。何個も同時にできて、必然と副業兼業が当たり前になってきます」

中馬さんは続ける。「ちょっと前は、独立しなさい、って文化だったと思うんですよ。でもこれからは、会社を利用して副業で稼ぐ時代。会社に所属しているからこそ会える人に会い、できることをやりながら、自分のしたい世界に近づいていけばいい」

「会社に利用されるのでなく、いい意味で利用してほしいですね」と徳田さんも意見を重ねた。

お金を出してでもやりたい仕事をする。クリエイティブな職業が主流になる。そんな「令和あるある」を挙げた中馬さんは、スーツを着る着ないも自分で判断する、社員の特性を細かく見極めるといった美京都らしさを紹介。そして、会場に呼びかけた。

「あなたは、どんな働き方をしたいですか?令和時代、どんな働き方や生き方が生まれてくると思いますか?」

常識を超える働き方、続々

続いてのワークでは、グループごとに10分間話し合い、考えを紙に綴った。
「では、テーブルを回っていきます」。出尽くした頃を見計らい、二人が声をかけていった。

「DNA採用」生まれた時に採用。生まれた瞬間に「エンジニア向き」などと判断される。

「モテ学」少子高齢化を防ぐため、モテるためのテクニックを小中学校で学ぶ。

「会社ごとのファンクラブ化」株主のような、サッカーチームを応援する個人スポンサーのようなもの。

「複数社に入社」この4社は同時に働ける確率何%などと診断され、新卒入社が複数社。

「ICチップの埋め込み」血液中にICチップ入れ、早くにガンとかが見つかったり、病気になりそうな時も治してくれたりする。

「ふざけたもんがち」その人がいるだけで笑いが起きたり、会議が盛り上がったりする。愛嬌のある人が重宝される。

このほか、「死ぬタイミングを選べる」「好きなことが仕事になる」「中学生社長が増える」「多夫多妻制」「アバター出社」など合計約40のユニークな考えが言葉や絵で発表された。

自分にしかない世界観が強みに

最後に、美京都の中高生インターン生たちとのエピソードを紹介し、会場に呼びかけた。

「彼らは、自分の作りたい世界、過ごしたいライフスタイルを考えて僕たちに提案してくるんですよ。『船員じゃなく能力者になる』って宣言して、会社を利用して。そういう十代が誕生していることに、いい意味で危機感もってほしい。僕ら大人はもっとできるはず!」

そして、最後に参加者に向けてメッセージを送った。

「ワガママになれば、『自分』という人間に仕事が来るようになるし、これからはきっとそういう時代・そういう世界になる。だから、自分にしかないスキル、自分にしかない世界観、自分だからある信用を大事に育んでほしい自分自身を追求して挑戦するみなさんと一緒に、面白い世界をつくれたらと思います」

「自分価値」を高める働き方のヒントが散りばめられていた2時間。多くの可能性を秘める参加者たちと新しいスタートを切ったKOINは、まだ見ぬ世界をつくりあげていくエネルギーに満ちていた。

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