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【U35起業家育成プログラム】 これからの起業/ビジネスは 「自力のススメ」

WRITER : 仲田 匡志

今回ご登壇いただいた笠井さんは、限りある資源を循環させる社会、理想の社会を目指すという想いを込めた(株)RE-SOCIALを立ち上げた起業家。通常のビジネスよりも事業化が難しいと言われる「ソーシャルビジネス」の中で「獣害」にフォーカスし、課題を引き起こす「シカ」や「イノシシ」などをジビエや革製品へと転換するビジネスを展開されています。起業から今日までの道のりや課題を乗り越えて超えてきた知恵と工夫についてお話をいただきました。

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笠井大輝 氏(株式会社RE-SOCIAL 代表取締役)  

素行が悪過ぎた幼少期の経験から将来は社会に貢献する人材になりたいと考え、 龍谷大学政策学部に入学。在学中に社会課題解決を研究するゼミに所属。鹿や猪が大量に廃棄されている現場を見学し、「知ってしまったのに何もしない訳にはいかない」と獣害被害を解決するために起業を決意する。 201911月に同じゼミの仲間2名と「株式会社RE-SOCIAL」を立ち上げ、獣害を引き起こすシカやイノシシを食肉加工して販売する事業を開始。

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モデレーター:仲田匡志(株式会社SOU 代表取締役 /(株)MIYACO

 

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  • どんな大人になりたいだろう?

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―やんちゃな雰囲気とソーシャルビジネスが同居するユニークなプロフィールですが、起業までのエピソードを教えてください

 

笠井さん:中学時代は野球に打ち込んで、野球だけやっていればOKな日々でした。勉強や学校もそんなに真面目にしていなかったんですね。結果的に、やんちゃな人と集まることが多くなっていましたね。大事件ということはなかったですが(笑

野球をやりすぎて嫌いになったので、高校ではのほほんと生活していました。それから何かの反動なのか、少しずつ真面目にやってみるのもいいなと思うようになってみたんです。

ただ、その時には卒業も迫っていて、クラスの半分は就職が決まり、4割は専門学校、1割が大学進学という状況でした。

そんな中、『人の役に立つ人に』と父の言葉を思い出し、「どういう大人になりたいんだろう?」と考え始めました。人の役に立つこと、社会のためになる仕事って何だろう。でもそれを考えるには時間が足りない。そう思って「大学で学びたい」と自分から勉強をはじめました。それが自分の将来に対して主体的になれた瞬間でもありましたね。

 

―未来の自分を想像した時に、学びたいという主体的な行動が生まれたんですね。「未来を考える問い」がもたらす力を感じます

 

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  • 知った責任としての起業

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笠井さん:そうですね。といっても大学1回生は学生らしく遊んでいましたが(笑

そこから何のために大学に入ったのか問い直している間に、周りで「起業」をする人が増えてきたんです。それと同時に、社会の役に立つ人たちは「自己犠牲」や「我慢」している人が多いように感じ、違和感を持つようになりました。そうした機運と違和感の中で、社会課題を解決しながらお金も稼ぐことができる「ソーシャルビジネス」についてゼミ活動を通じて知ったことが転換期でしたね。

 

―社会の役に立つことは何かを考え、その先にあったのが「社会課題の解決」。それに自己犠牲や我慢をしないでするには?という問いがゼミ活動で生まれたんですね。

 

笠井さん:そうですね。ゼミ活動の中で「獣害被害」の現場を見る機会がありました。そこで獣害として駆除された鹿や猪の死体を1箇所に集めているところを見たんですね。居ても立っても居られない、捨てられる命を無くしたいと思うようになりました。

獣害という課題、その駆除のリアルを知った人としての責任です。

 

―笠井さんの強い原動力になられたその場面を写真で見せていただきましたが。言葉にできない現実がありました。まさに命を捨てていいのかと

 

笠井さん:なので、この課題をどうにか解決できないかと考え、たどり着いたのがNPOでもボランティアでもなく、ビジネスだと考え、「起業」が選択肢に現れました。

 

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  • 起業のハードル

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―それから創業メンバーでもある山本さんと江口さんと一緒にRE-SOCIALを立ち上げられるわけですが、何か壁にぶち当たることなどありましたか?

笠井さん:ほとんどの人たちが僕たちの起業は難しいと反対をされました。また工場建設などの初期投資の金額が大きかったので、その金額を背負ってやるかどうか、めちゃくちゃ悩みましたね。

 

―その悩みはどのようにして乗り越えられましたか?

 

笠井さん:散々悩んだ後に、創業メンバーから「笠井がやるならやるよ!」と、やるかやらないかの選択肢が僕に委ねられたんです。その時に「1人でもやる!」と思ったんですね。自分1人でもやりたいと覚悟があったんだと。獣害の課題を見た1人として、見て見ぬ振りをするのか、解決のために頑張るのか。根拠はないけれど解決できるという強い自信が後押しになりました。

 

―実際に、今活動をされている笠置町では、獣害として捕獲された鹿は全てRE-SOCIALさんによって、ジビエなどの食品に、京都駅前のお店で料理に、皮は革製品へと全て循環させていらっしゃいますね。

 

笠井さん:皆さんのおかげです!起業をしなければ大学院に入学して勉強する選択肢があったのですが、起業も大学院もどちらも同じようにお金がかかります。それならば、実践でソーシャルビジネスを学ぶ方がいい。起業してどう転んでも自分にプラスになる。だったら実践だ!と整理できたことも、乗り越えられた1つの考えですね。

 

―リスクのように見えた起業は、実はリスクではなかった発見ですね!どちらに転んでもプラスになる選択肢にされる知恵をいただきました!

 

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  • むすびに

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―最後に、会場の参加者の方に一歩を踏み出すエールをお願いします

 

笠井さん:人は誰に憧れるかで人生は変わると思います!自分の可能性を広げる人との出会いを探してみてください!

 

―お父さんの教えである「人の役に立つ」からはじまり、多くのご縁から今がある笠井さんならではのメッセージですね!笠井さんありがとうございました!

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