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【U35起業家育成プログラム】 社内起業を成功させる3つの秘訣

WRITER : 仲田 匡志

登壇ゲストの新田廉さんは、京都信用金庫さんからリリースされた社内ベンチャー事業『京信人材バンク』の発起人であり共同代表。「地域でつくる、まちのワークインフラ」をコンセプトに事業を企画し社内で提案。中小企業の人手不足を、丁寧なマッチングや複業人材を活用するアプローチで解決するサービスを展開されています。事業の立案から実施までを務められた新田さんをお招きし、20代でも、業種が異なる事業でも社内起業ができるヒントについてお話をいただきました。

 

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新田 廉 氏(京都信用金庫 京信人材バンク 共同代表)

三重県伊勢市出身。2016年龍谷大学政策学部卒業後、同年京都信用金庫に入庫。営業店にて融資、営業を経験後、ゆたかなコミュニケーション室にて社内外の広報活動を行う。 20206月より社内ベンチャー事業である「京信人材バンク」の共同代表として、「誰もが頼り合い、チャレンジできる社会」の実現に向けて地域の企業と働き手をつなぐ事業を開始。まちを一つのオフィスに見立てた複業コミュニティ「まちごとオフィス」など地域で新しい働き方をつくるチャレンジに取り組んでいる。

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モデレーター:仲田匡志(株式会社SOU 代表取締役 /(株)MIYACO

 

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  • 起業のきっかけは「共感」

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―社内起業ということがテーマなので、まずは京都信用金庫さんに入庫をされた背景を教えてください

 

新田さん:大学在学中に地域企業の強みや魅力を掘り下げ研究するゼミに所属していたことがはじまりです。たくさんの企業・業態・業種を学ぶに連れて、こうした地域企業の役に立ちたいという気持ちが強くなり、それはメガバンクではなく地域に寄り添う信用金庫だとわかり入庫を目指しました。京都信用金庫に、やりたいことにチャレンジできる風土を感じたことも決め手でしたね。

 

―役に立ちたいという真っ直ぐな気持ちは新田さんからよく伝わります!

 社内起業に至った背景も続けて教えてください

 

新田さん:共同代表の矢野が同じ大学、同じ職場で同期という偶然があるんですが、ある時彼が「奨学金によってチャレンジする機会が失われている」と教えてくれたことが、起業のはじまりです。

奨学金を受けた学生が社会に出た後、返済があることで行動範囲が狭くなってしまったり、そもそも奨学金が必要となる社会や働くことの課題があったり。自分は環境に恵まれていただけで、自分の夢ややりたいことにチャレンジできることが、当たり前ではないことに気づかされました。矢野が向き合うこの課題に、強い共感が生まれていましたね。

この課題をそのままにしてはいけない。自分達でできるとはないかと2年近く奨学金の課題を調べ、解決策を練り続けました。

 

―共同代表の矢野さんへの「強い共感」が社内起業への一歩だったんですね。その当時、ここKOINに新田さんと矢野さんがいらっしゃるのをお見かけしたのですが、まさにこの作戦会議をされていたんですね

 

新田さん:そうでしたね、平日の定時後や休日も矢野と一緒にどうやったらこの課題がなくなるのかを考え尽くしていましたね。そうして考えを深めていくうちに、そもそもの「奨学金を必要としない環境づくり」が大事ではないかと考えるようになったんです。

 

 

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  • 課題解決を諦めない

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新田さん:よく考えると、奨学金を借りなくても良い方法として、保護者の方が望むお仕事や報酬が得られることが大事ではないかと気づいたんです。

矢野のお母さんが家庭の事情で自分に合った働き方ができず悩まれていたそうで、自分らしく望む働き方ができればそうしたことはなくなるのではないかとなりました。

それから、行政・民間・個人といったそれぞれの枠を超え、可能性を繋ぎ合わせる、まちのワークインフラが必要だと辿り着き、京信人材バンクの企画・構想へとつながります。

 

―共同代表の矢野さんと連日連夜課題に向き合われたからこそ現れた解決策ですね。それまでに多数のアイデアが生まれたとも聞きました。

 

新田さん:そうなんです。はじめは自分達で奨学金の創設をしたらいいんではないかとか色々考えたんです。でもインパクトがどれも弱く、ビジネスとして「意味があるか」「効果があるか」「持続できるか」3つの視点に照らし合わせながら、トライアンドエラーを繰り返して辿り着きました。

 

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  • 社内起業を進めるために

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―いよいよ事業が計画に落とし込まれたのだと思いますが、そこからどうやって社内での実現を叶えられましたか?

 

新田さん:まずはじめに、この事業を社内でするべきか社外でするべきかを話し合いました。というのも、会社(金庫)としてのミッション・ビジョンと合致しなければ、例え社内でGOサインが出ても歪みが生まれますし、合致していれば小規模で進めるよりも一緒に進めることに意味と価値があるからです。

 

―大事な視点ですね。自分・事業・会社が共感し合えるかですね

 

新田さん:そうですね。それから次のようなポイントがあると思います。

 

1、会社としてのミッション・ビジョンと合致するかを確認

2、時代のトレンドを押さえている事業であるか(会社としても進めやすいか)

3、社内の仲間・応援者に相談し、壁打ちを行う

4、社内ベンチャーの雰囲気と任せていただける信頼を得る

5、事業内容と社内リソースのシナジーを社会と会社の視点に立って吟味する

 

どれか欠けると難しかったと思いますね。日常の業務は当たり前でしっかり努めていないとそもそも話しにならないと思いますし、それが信頼につながると思います。また、事業内容が社内リソースとマッチしているかもポイントですね。

 

―会社としてその事業を実施する意味と価値があるか、またそれを任せるに値する人材かどうかという点ですね

 

新田さん:それらを前提に「諦めない」ということが大事だと思います。

 

―これは起業家の皆さんからよく聞く言葉ですが、社内・社外問わずの命題なのかもしれないですね。自分も会社も社会も共感し、そして実行する意味と価値があるかを確認する。そしてそれが実現するまで『諦めない』

 

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  • むすびに

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―最後に、会場の参加者の方にメッセージをお願いします

 

新田さん:起業やなにかをはじめようとされている方に、「なぜ自分が起業をするのか?」を問い続けていただきたいと思います。そうすると自分を活かす仕事や事業が見つかり、それが社内でも独立でも色んな形で実現できると思います!

 

―最後まで諦めない起業家新田さんに習い、最後まで向き合い続けるチャレンジをしたいと思います。新田さんありがとうございました!

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